ファイナンス 2021年9月号 No.670
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図4-2 米国 投資収益の分解(GDP比)ストック効果為替効果収益効果構成効果投資収益20000510152034210-1-2(%)図4-3 ドイツ 投資収益の分解(GDP比)ストック効果為替効果収益効果投資収益構成効果2000051015203210-1-2(%)4図4-4 英国 投資収益の分解(GDP比)2000051015203210-1-2-3(%)(出所)図4-1~4-4はIMF統計、各国統計より筆者作成。ストック効果為替効果収益効果構成効果投資収益図4-5 対外資産・負債の構成(2020年)日本資産負債米国資産負債ドイツ資産負債英国資産負債100806040200(%)(注)金融派生商品、外貨準備を除く。(出所)図4-5は、IMF統計より作成。貸付など債券株式・投資ファンド持分直接投資ドイツは日本と同様、対外純資産の大幅な黒字がストック効果としてGDP比1%程度寄与している。一方で、日本に見られた大きな構成効果のプラス寄与はなく、ほとんどが収益効果であり、主に直接投資と債券投資の収益率が高いことによるのが特徴である。収益効果全体に大きな変化はないが、証券投資収益の内訳は大きく変化している。2008年のグローバル金融危機や2010年のユーロ財政危機などの影響で株式などの配当収益はマイナスに転じた一方で、債券利子収入はプラスに転じている(図4-11)。ドイツ連邦銀行のレポートDeutsche Bundesbank (2018)によると一連の危機による不確実性の増大は、ドイツ国債への安全資産としての需要を高め金利低下をもたらした。結果、利払いの減少によりドイツの所得収支の増加に繋がったとみられる。英国の所得収支は2000年代前半まで黒字基調であったが、10年代に入り赤字が定着した。過去の黒字を支えていたのは、構成効果であり、対外負債より対外資産の方が直接投資の割合が大きいことが影響していた。一方、2010年代に入り対内直接投資のシェアが大きくなり構成効果は縮小、さらに収益効果のマイナス幅が大きく拡大している。Broadbent(2014)は、英国の投資先であるユーロ圏の成長率減速がこの所得収支の減少に影響していると指摘している。図4-6 日本 直接投資収益(GDP比)20000510152043210(%)配当金・配分済支店収益再投資収益利子所得等直接投資収益図4-7 日本 証券投資収益(GDP比)2000051015203210(%)配当金など債券利子証券投資収益図4-8 米国 直接投資収益(GDP比)20000510152034210-1-3-2(%)配当金・配分済支店収益再投資収益利子所得等直接投資収益図4-9 米国 証券投収益(GDP比)200005101520(%)10-1-2その他配当金債券利子証券投資収益 ファイナンス 2021 Sep.79シリーズ 日本経済を考える 116連載日本経済を 考える

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