ファイナンス 2021年9月号 No.670
7/98

アフターコロナの旅客増を想定し 手続の利便性向上を推進財務省関税局は、2020年6月に公表した中長期ビジョン「スマート税関構想2020」の下、税関手続のデジタル化や相談対応の利便向上等の様々な施策を進めている。約1年が経過し、いくつかの分野では進捗が見られている。「スマート税関構想2020」が推進する4つの分野の進捗状況を紹介しよう。一つ目はSolution(利便向上策)の分野。現在、コロナ禍にあって航空機旅客は減少しているが、アフターコロナに向けて旅客が戻ってくることを想定し、電子申告ゲート(Eゲート)の配備を拡大している。現在、7つの空港に58台の設置が完了し、ターンテーブルに手荷物が出てくるまでの待ち時間を利用して、「携帯品・別送品申告書」を電子的に提出することができる。手荷物を受取った後は、電子申告ゲートへ進み立ち止まることなく通過が可能。一方で今年3月の関税法の改正によって、納税のキャッシュレス化も進めている。海外旅行客が帰国時の携帯品、あるいは別送品(帰国後6か月以内に輸入するもの)には免税範囲が決められている。これを超える場合には、納税が必要になるが、これまでは現金納付が基本だった。7月からはスマートフォン決済アプリ納付が可能になり、今後はクレジットカード納付にも対応し、納税のキャッシュレス化に取り組む。また、航空機旅客以外の手続のデジタル化も進めている。輸出入業者の通関手続はNACCSと呼ばれるシステムで99%以上処理されているが、一部の手続は書面が必要だった。この手続のデジタル化を進めている。相談対応の利便性向上の部分では、2月にチャットボットを活用した「税関チャットボット」をスタートさせた。当初は24年度まで検討する計画だったが、「スマート税関構想2020」の進捗状況チャットボットによる相談対応や 電子申告ゲートの設置などを推進スマート税関構想の進捗状況Solution(利便向上策)■税関手続の一層のデジタル化●電子申告ゲートの増配備→7大空港(58台)に拡大●納税のキャッシュレス化→関税法改正■相談対応の利便性の更なる向上●税関チャットボット→2021年2月リリース●EPA利用者支援→説明会の開催、支援コンテンツの充実Multiple-Access(多元連携)■関係機関・事業者との更なる連携●先端技術を活用した情報収集の検討●事業者・関係業界団体とのパートナーシップ強化●事前電子情報の更なる入手に向けた働きかけ●AEO制度の利用拡大に向けた取組の推進Resilience(強靭化)■災害等非常時に強いシステムの検討●危機管理Al→トライアルを開始●テレワーク→環境を一部整備■海岸線等の監視取締りにおける先端技術の活用●ドローン→活用可能性の検討Technology&Talent(高度化と人材育成)■先端技術の積極的な導入・利活用●ビックデータ解析→各種業務支援モデルの作成を開始●AIによるX線画像審査支援→支援に向けた準備●RPAの活用→100以上の定型業務をRPA化■検討体制の整備及び人材の育成・確保●職員研修の実施●有識者との意見交換●最先端技術の情報収集 ファイナンス 2021 Sep.3公表から約1年が経過「スマート税関構想2020」進捗状況特集

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る