ファイナンス 2021年9月号 No.670
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(F&B)施設内での飲食の人数上限を5から2名に縮小を発表。同月18日には、更なる市中感染の拡大を受け、高齢者を始めとするワクチン未接種者に対し、今後数週間は外出を自粛するよう「強く」勧告。同月20日には、同22日~8月18日の間、フェーズ2「heightened alert」へ再び戻る旨の発表がなされました。こうした背景には、カラオケバー(KTVラウンジ)や漁業関係者の間でクラスター感染が拡大があるようです。なお、当局は、予防的措置として、海鮮市場や海鮮屋台を閉鎖し、海鮮を扱う業者にPCR検査を実施しています。現在、アジア新興市場国で変異株におる感染再拡大の動きが広がっています。ここシンガポールでも今ま*4) 執筆当時、2021年7月20日現在。さに*4同じような事態に陥っています。コロナ対策では、「優等生」と呼ばれる同国ですが、今後も気の抜けない状況が続くものと思われます。◆ 新型コロナウイルスの対応は長期戦に(当局は累次の経済対策を実施)新型コロナウイルスに伴う経済状況の急速な悪化を受けて、シンガポール政府は2020年2月から8月までに計5回、企業や個人への支援パッケージを発表しています(参考2)。同政府はパッケージの中で、雇用主に従業員の10カ月分の月給の25~75%を補助する「雇用サポート・スキーム(JSS)」を通じて雇用維持を支援し、不動産保有主を通じて商業物件のテナントの賃料に充てるなど経営コスト負担の軽減を図ってきました。こうした政府の支援総額は929億Sドルと、GDPの20%弱の規模に達しているとも言われています。しかし、政府支援が継続される中、長引く国内景気の落ち込みは個人の生活も直撃しています。支援パッケージのうち、失業し収入の3分の1を失った低・中所得者向けに一時金600Sドルを支給する「一時支援金(TRF)」の申請者は、2020年4月の1カ月間で約59万人に上ったようです。(参考2)シンガポールのコロナ関連経済対策の概要(金額:憶Sドル)発表日総額雇用支援制度(JSS)の概要その他主要項目2020年2020年予算2月18日68-3か月分の月給の8%を支給-対象となる月給上限は3,600Sドル-21歳以上の全国民にへの生活支援のための一時支給(TRF)(100~300Sドル)-観光、航空などの5部門に対し、つなぎ融資プログラムや不動産税の軽減などの特別支援第1次補正予算3月26日484-業種毎(Tier1~3)に月給25~75%を支給(2020年7月まで)Tier1:航空業および観光業- --Tier2:飲食業および小売業などTier3:その他-対象となる月給上限を4,600Sドルへ引き上げ-一般商業施設に対し2020年分の不動産税を全額還付-中小企業向け融資枠の拡大第2次補正予算4月6日51-職場閉鎖中のおいて、支給基準を一律75%に引き上げ-21歳以上の全国民への生活支援の一時金支給(TRF)額を600S(←300S)ドルに引き上げ-外国人労働者に対する外国人労働者税を免除-政府が運営する施設に入居する企業に対し、1か月分の賃料免除第3次補正予算5月26日330-支給対象期間を一か月延長(2020年8月分まで)-中小企業を対象に賃料支援-低・中熟練労働者の雇用主に対し、①外国人雇用税の免除及び②雇用するWPとSパス保持者対する、1人当たり750Sドルの払い戻し、を二か月延長第4次補正予算8月17日80-支給対象期間を2021年3月分まで延長-金融やICTなどの業種向けに新雇用に対するインセンティブの支払い(雇用促進助成金(JGI))を導入(2021年2月まで)2021年2021年予算案2月17日110-新型コロナによる影響が大きい業種のTier1とTier2については、それぞれ2021年9月、2021年6月まで支給対象を延長[JGI]-対象期間を7ヶ月延長(2021年9月末まで)(1)採用する現地従業員の年齢が40歳未満の場合1人あたり月給5,000Sドルを上限として、月給の25%(最大12ヶ月間)(2)1人あたり月給6,000Sドルを上限として、月給の50%(最大18か月)(出所)シンガポール財務省、JETROシンガポール事務所をベースに筆者作成最近の新型コロナ感染者数の推移(2021年7月19日現在)(出所)AMRO ファイナンス 2021 Sep.57海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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