ファイナンス 2021年9月号 No.670
59/98

❖Safe Care(医療の安全):必要不可欠な医療サービスは継続ヘルスケアサービス、予防治療サービス、1対1での補完医療サービスが再開。その他すべての高齢者向けの活動は、引き続き停止。ただし、周囲のサポートがまったく、またはほとんど受けられない高齢者のために、高齢者サービスセンターは徐々に再開。フェーズ2:Safe Transition(安全移行)第2フェーズでは、再開可能な活動がさらに増加。フェーズ2への移行は、フェーズ1開始から数週間コミュニティ内感染率が安定して低い状態が続き、外国人労働者の寮内感染が落ち着いてから。次のような活動が徐々に可能に。・少人数での社会的な活動・安全管理対策をした上でさらなるビジネスの再開(飲食店での店内飲食、リテール店舗、ジム・フィットネススタジオ、塾・習い事・すべての学生について学校への完全復帰、高等教育の学内への学生の復帰フェーズ3:Safe Nation(安全な国家)第3フェーズとなる頃には、シンガポールは「ニュー・ノーマル(新常態)」に到達。有効なワクチンまたは治療法が開発されるまでは、この状態を継続。・社会、文化、宗教、ビジネスの集会・イベントが再開できますが、集会の規模が制限。・長期間の濃厚接触、閉鎖された空間で混雑のリスクがあるようなサービス・活動(スパ、マッサージ、映画館、劇場、バー、パブ、ナイトクラブ)が再開。・高齢者は、セーフディスタンシングを守り、混雑した場所を避けたうえで、日常生活に戻ることが可能。(出所)シンガポール政府、シンガポール保健省*3) シンガポール政府によってリリースされたアプリケーションソフトウェア。このアプリを使うことで、シンガポール政府が専用に作ったBlueTraceプロトコールを利用して、電子的な接触追跡が可能となる。アプリは政府デジタルサービスによって開発され、2020年3月20日にリリースされた。◆ 2020年7月~2021年4月は「フェーズ3」移行で市中に活気2020年実施のサーキットブレーカー以降、コロナ感染者が市中では0~1桁が続き、同年12月には規制措置が最終段階のフェーズ3にまで移行し、それまでの外食5名縛りから8名まで可能となりました。またレジャー目的の海外旅行は、コロナ禍の影響を受けて下火になっていましたが、香港までの特別な旅行のパッケージが企画されるなど、コロナ感染症対策の山場を越え、市中の生活は活気づいていました。なお、部分的ロックダウン後にシンガポールが成功したのは、QRコード等を利用した安全な入場システムの構築がポイントでした。シンガポールの職場、学校や店舗の入り口では、QRコードにスマホをかざす「セーフエントリー」が必須になっています。それらの場所を訪れた人はQRコードをスキャンしてオンラインでチェックインし、その場所を出るときにチェックアウトする必要があります。これは、新型コロナウイルスの陽性者と接触した可能性のある人々を追跡できるようにするための仕組みで、この方法は多くのコストをかけずに実現し、成功裏に導入されました。なぜならシンガポールでは全ての市民がFINと呼ばれるデジタルIDを所有し、このアプリに応用出来たからだと思われます。このデジタル技術を生かした接触者追跡システム「トレーストゥギャザー(TT)」のアプリ*3もしくはトークン(小型端末)(下の写真参考)の普及率は、全人口の7割を上回っています。駅の改札同様に、機器をかざすだけで施設の入退場登録を済ませられる「タップ・アンド・ゴー」方式のシステムも随時導入が進んでいます。 ファイナンス 2021 Sep.55海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る