ファイナンス 2021年9月号 No.670
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*10*10) 民間非営利機関は、教育・研究・救急等の公的病院活動に参加し、公的機関と同様の役割を果たしており、医療費の支払い、施設整備の補助金等に関して、公的病院と同様の取扱いとなる(厚生労働省海外情勢報告2005~2006年)本稿のテーマである、フランスの医療提供体制改革に関連するいくつかの項目を取り上げて、近年の推移や現状を概観する。医療機関フランスの医療機関は、公立病院を中心とする公的機関及び民間非営利機関*10が機関数でも病床数でも7割前後を占め、中心的役割を担っている(図1、2)。2013年から2018年にかけて、医療機関数(3,125→3,042)、病床数(41.3万床→39.6万床)とも減少しており、こうした医療提供体制の抑制が、コロナ危機に際して問題とされた。(図1)医療機関数の内訳(2018年)公的機関1,36045%民間非営利機関68222%民間営利機関1,00033%(図2)病床数の機関種別内訳(2018年)公的機関24.3万床62%民間非営利機関5.6万床14%民間営利機関9.6万床24%(出典)仏・連帯保健省 調査研究政策評価統計局(DREES)「Panorama des établissements de santé 2020」医療従事者の数2018年末時点において、医療関係者は約130万人とされ、約4分の3が公的機関関係者である(表1)。看護師・パラメディカル等の多くも公的機関等の従業員となっている。(表1)2018年末におけるフランスの医療関係者の内訳(万人)公的機関民間非営利機関民間営利機関合計医師9.91.94.115.9 勤務医9.71.40.511.7 開業医0.20.53.54.2インターン3.20.20.03.5助産師1.30.10.31.7医師等計(A)14.42.34.421.0看護師・パラメディカル等55.39.611.476.4 看護師(国家資格)25.04.15.334.4 パラメディカル等30.35.56.141.9事務職等26.14.63.634.3非医師の医療関係者計(B)81.414.215.1110.7医療関係者総合計(C)95.916.419.4131.7(出典)仏・連帯保健省 調査研究政策評価統計局(DREES)「Panorama des établissements de santé 2020」看護師・パラメディカルの人員数は近年比較的安定的に推移しており、急激な削減等がみられたわけではない(図3)。(図3)看護師等の人員数の推移0302520151052003200420052006200720082009201020112012201320142015201620172018(万人)看護師パラメディカル(出典)仏・連帯保健省 調査研究政策評価統計局(DREES)データベース医療従事者の報酬公立病院従業員の報酬に関しては、フランスでも近年絶対額では一定の伸びがみられるところである(図4)。(図4)公立病院従業員の平均賃金(フルタイム換算)の推移(月額・純額)2012201320142015201620172,3002,2902,2802,2702,2602,2502,2402,230(€)(出典)フランス国立統計経済研究所(INSEE)【コラム】フランスの医療提供体制概観 その1 ファイナンス 2021 Sep.31コロナ危機下におけるフランスの制度改革の行方SPOT

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