ファイナンス 2021年9月号 No.670
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Resilience(強靱化)社会構造の変化や災害リスク等に備え、税関手続における利便性を確保しつつ、税関行政を持続・発展させていくことを目指す。Technology&Talent(高度化と人材育成)税関業務にAI等の先端技術を積極的に取り入れ、税関手続における新たな利便性の創造や一層の効果的・効率的かつ先進的な取締りの実現等、業務の高度化を目指す。また、先端技術の活用に併せて人材育成、業務そのものの見直し及び職場環境の改善を目指す。「スマート税関構想2020」に 期待される3つの効果「スマート税関構想2020」を実現することにより期待される効果を整理すると次のようになる。(1)海外旅行者への効果現在、海外旅行者の携帯品に対しては、税関職員が基本的に対面で必要な検査を行っているが、将来は、Eゲートの利用拡大で、空港のワンストップ・ワンスオンリーを目指す。この実現のため、出入国在留管理庁等の関係省庁と連携・情報共有を強化、Eゲート用アプリをより使い易く改善、クレジットカード等による納税を可能とするキャッシュレス化等について取り組んでいく。(2)貿易関係事業者への効果現在、輸出入者、通関業者等が行う税関手続のうちの一部がデジタル化されておらず(減免税手続等)、書面等の提出が必要な場合がある。また、税関に対し税率や税関手続等について照会する場合、その対応は日中の開庁時間に限られる。将来は、税関手続における一層の利便向上や通関手続の一層の迅速化を図っていくことが重要。この実現のため、税関手続の一層のデジタル化、自動応答プログラムを活用した24時間365日の税関相談、必要な情報を容易に入手できる税関ホームページへの改善、EPA税率の適用を希望する方への支援、税関検査のオートメーション化に取り組む。(3)税関職員への効果将来、税関業務の多様化・複雑化が予想されることから、関係機関、貿易関係事業者、外国税関等との情報連携の拡大・強化、災害等非常時に強いシステムの導入、AI等先端技術の活用、研修の充実、監視取締りにおける無人航空機や衛星情報等の活用などについて検討し、業務の高度化、人材育成を進めるとともに、新型コロナウイルス感染症流行への対応や働き方の改革として、テレワークの通信環境を強化する等の職場環境の改善も図る。「スマート税関構想」の3つの効果対象将来像実現するための取組海外旅行者空港のワンストップ・ワンスオンリーの実現●出入国在留管理庁等の関係省庁との連携・情報共有の強化●Eゲート用アプリの改善及び利用向上のための周知●納税のキャッシュレス化貿易関係 事業者税関手続における一層の利便性向上、通関手続の一層の迅速化●税関手続の一層のデジタル化●自動応答プログラム等を活用した相談対応、税関ホームページの改善、EPA利用者への支援等による利用者の利便向上●税関検査のオートメーション化税関職員先端技術による業務の高度化、人材育成、職場環境の改善●関係機関、貿易関係事業者、外国税関等との情報連携の拡大・強化●災害等非常時に強いシステムの導入●Al等先端技術の活用の検討・検証の推進、研修の充実、働き方の改革●監視取締りにおける先端技術(無人航空機、衛星情報等)の活用の検討 等 ファイナンス 2021 Sep.9公表から約1年が経過「スマート税関構想2020」進捗状況特集

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