ファイナンス 2021年8月号 No.669
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各地の話題〔阿波藍〕徳島は、江戸時代から天然染料「蒅すくも」の全国一の産地です。徳島産の蒅は阿波藍とよばれその高い品質から他の藍と区別されたほどです。江戸時代、阿波藍は質、量ともに日本一を誇りました。藍以外の染料が乏しかったことからも阿波藍は全国の染料市場を席巻し、地元に莫大な富をもたらしました。そして隆盛を極めた藍商人から上納される運上金(各種産業に対し一定の税率で貸した税金)や冥加金(特定の営業免許などの代償として支払う金銭)で潤いました。徳島市藍場浜には、藍倉が立ち並び、年に一度の市は全国から商人が集結したことで交流人口が増大し藍商人をスポンサーとした人形浄瑠璃や阿波おどり等の文化の発展もありました。天然藍の藍染は美しさだけではなく、肌にも優しく、抗菌・防虫効果もあります。保湿効果もあり冷え性にも良いとされています。また、その色合いは、神秘的なブルーと世界から賞され、ジャパンブルーと呼ばれています。藍の濃淡だけで表現される藍染はシンプルだけど奥深い模様となっています。なお、東京オリンピックのエンブレムは日本の伝統色として藍色で描かれています。〔阿波おどり〕昔、藍倉があった藍場浜で行われる阿波おどりが壮大なスケールで観る人を魅了します。阿波おどりは、日本3大盆踊りに数えられる日本を代表する盆踊りで400年の歴史があります。人々のくらしに根付き時代の変化を巧みに取り入れながら継承し洗練されてきました。魅力は、芸術的で美しいこと、三味線、太鼓、鉦、横笛などの鳴り物による生演奏で踊ること、観客も踊りに参加できることが魅力です。県内各地で開かれますが、徳島市の阿波おどりが最も規模が大きく、毎年8月12日から15日の4日間開催され、100万人以上の人出で町は熱気に包まれます。阿波おどりは古くから「手をあげて、足を運べば阿波おどり」と言われるほど初めての人にも親しみやすいのが特徴です。「よしこ(阿波おどり特有のお囃子)」リズムを感じ、熱気の渦に飛び込んでみませんか。だれでも阿波おどりに参加できる「にわか連」もあり、気軽に阿波おどりを体験することができます。また、徳島市のシンボル眉山のふもとにある阿波おどり会館では、毎日、昼夜に踊りの実演があり、年間15万人もの人が来場し、観客も一緒に踊って楽しんでいます。〔眉山〕 ファイナンス 2021 Aug.69連載各地の話題

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