ファイナンス 2021年8月号 No.669
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こうした技術は自前で開発したのではなく、既に安くて使いやすいサービスがデジタル空間の中にあります。何もしていないところに、こうした既存の技術を持ってきて生産性を上げていくのですから、伸びしろが大きいのです。その結果として、そこで働く人の収入が今の倍になり、夫婦で共働きならさらに倍になれば、より豊かな生活を送ることができます。これが日本経済再生モデルだと思っています。15. JPiXの立ち上げ: 地方再生のエンジンに口で言っているばかりではなく、自分で実行しようという思いから、オールジャパンを対象にした投資事業系の会社であるJPiX(株式会社日本共創プラットフォーム)を昨年立ち上げました。有望だけれど素材や素質を生かしきれないでいる会社に対して出資や投資を行い、あるいは経営してCX、DXに取り組み、生産性革命を実現します。投資としてもきちんとリターンを出すし、働く人の賃金を上げていき、その結果として、地域の経済に好循環を起こします。あるいは、東京で能力を持て余している優秀な人材を企業に派遣して活躍してもらうといった、人材が循環するプラットフォームにもなります。地域の金融機関とも連携して、民間主導で地方創生のエンジンになりたいと考えています。講師略歴冨山 和彦(とやま かずひこ)株式会社経営共創基盤 IGPIグループ会長株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007年の解散後、株式会社経営共創基盤(IGPI)を設立し代表取締役CEO就任。2020年10月よりIGPIグループ会長。2020年株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)設立、代表取締役社長就任。パナソニック社外取締役 経済同友会政策審議会委員長。財務省財政制度等審議会委員、財政投融資に関する基本問題検討会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、文部科学省中教審実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)、『コーポレート・トランスフォーメーション』(文藝春秋)など多数。 ファイナンス 2021 Aug.67職員トップセミナー 連載セミナー

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