ファイナンス 2021年8月号 No.669
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(図表5)人生100年時代おける教育機会の享受可能性モデル労働期労働期労働期学 校教育期再教育期再教育期引退期ライフロング・モデル教育らしき活動組織的な教育に限定されず、あらゆる生活の場面に「教育らしき活動」を見出し、教育享受の期間を細かく分散する上記2つを包括したモデル100806040200(歳)労働期労働期労働期労働期学 校教育期引退期リカレント・モデル学校教育を受ける時期が固定されておらず、必要に応じて教育期・労働期・引退期などを個人が自由に組み合わせられるモデル100806040200(歳)労働期学 校教育期引退期フロントエンド・モデル人生の初期に組織的な教育機会を集中的に提供され、その後は労働期、引退期と一方向的で直線的に進むモデル100806040200(歳)(図表6)人生100年時代に求められる能力(複数回答)人生100年時代に求められる能力これまで重視してきた能力67.364.654.438.930.320.846.343.855.347.128.453.5柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力困難に立ち向かうことのできる精神的な能力特定の分野における専門的・技術的な能力自ら考え、行動することのできる能力チームの一員として自らの役割を果たす能力経験をもとに着実に仕事を行う能力806040200(%)(図表7)勤務先以外で実施した学習・自己啓発(複数回答)1.92.93.58.29.012.813.725.0勉強会等の主催・運営NPOやボランティア等の社会活動への参加語学学習通信教育、eラーニング研修・セミナー、勉強会等への参加資格取得のための学習読書大学・大学院・専門学校3020100(%)(図表8)学びの行動をとらなかった理由(複数回答)51.53.64.86.37.79.314.817.1あてはまるものがない知識や技術を取得するよい方法がみつからないから会社が研修や自己啓発の機会を用意してくれなかったから既に必要な知識や技術を十分に身につけているから学び行動をとるための費用負担が重いから新たな知識や技術を学んでも会社が評価しないから仕事や家事・育児などで忙しいから今後、転職や独立を予定していないから6040200(%)教育機関の視点:リカレント教育の実施状況・社会人の学び直しを実現する戦略・政策の1つにリカレント教育がある。リカレント教育とは、人生の初期に集中していた教育を分散し、個人が生涯にわたり必要に応じて循環・反復的に学習すること、またそれを可能にするシステムを指す。企業内教育の限界が指摘され、人生100年時代を迎える日本において、リカレント教育の重要性は増していると言えるであろう。・しかし、高度な知識・技能の習得が期待される大学等において、社会人を対象としたプログラムを提供している割合は25%程度と少ない(図表9)。社会人向けプログラムを提供していない学校の多くは、集客が困難であることや教員の確保を課題として挙げており、就職前の若年者を対象にした教育と研究活動を主軸としてきた中で、社会人向けプログラムを重視していない状況が示唆される(図表10)。・教育機関・企業・就業者(社会人)のそれぞれが期待する教育カリキュラムの内訳をみてみると、企業や社会人の重視する項目と大学の重視する項目に乖離が見られ、企業や社会人は大学ほどは研究活動に重きを置いていない。社会人の学び直しを促進するためには、大学におけるコース設定において、より最先端の内容を扱う科目を入れることや、幅広く実務的な内容を取り入れることが重要であると考えられる(図表11)。・既存のプログラムでは対応しきれないリカレント教育の実施は、多くの大学にとって現状では費用対効果が悪いものと映るであろうが、少子化の進展により学生数の確保は徐々に困難になることが予想され、社会人を対象とした教育を提供することは大学経営の観点からも今後求められるであろう。(図表9)大学等における主に社会人を対象とした プログラムの提供状況25.5 74.5 ※大学等には大学、大学院、短期大学、高等専門学校を含む提供している提供していない100608040200(%)(図表10)今後も「社会人の学び直しプログラム」の 提供予定がない理由(複数回答)65.141.614.76.730.323.1社会人の入学があまり見込めないため教員の確保が困難であるため連携している企業等からの支援がなくなったため社会人のニーズのある分野ではなくなったためコースの維持にコストがかかるためその他80706050403020100(%)(図表11)大学等が重視するカリキュラムと社会人・ 企業が期待するカリキュラム(複数回答)特定職種の実務に必要な専門的知識・技能を習得できる内容特定の分野を深く追及した研究・学習が可能な内容応用・実践問題の研究・学習に重点を置いた内容座学のみならず、実習等実践的な講座を重視した内容分野横断/学際性に配慮した幅広い視点からの研究・学習が可能な内容研究推進能力を身に着ける内容知識に基づいた深い洞察力を養う内容最先端にテーマを置いた内容幅広い仕事に活用できる知識・技能を習得できる内容基礎理論の研究・学習に重点を置いた内容独創的な発想による問題解決力を養う内容我が国の企業全般が抱える諸問題への指針を提供できるような内容その他特にない企業社会人(社会人教育未経験者)大学等(大学・大学院・短期大学・高等専門学校)(%)(%)5040302010050403020100 ファイナンス 2021 Aug.47コラム 経済トレンド 86連載経済 トレンド

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