ファイナンス 2021年8月号 No.669
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5欧州復興開発銀行(EBRD)第30回年次総会(6月28日~7月2日)EBRD第30回年次総会は、当初、本年5月にアルメニアのエレバンで開催予定であったが、他の機関と同様に新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、6月28日から7月2日にかけてバーチャル形式で開催され、日本からは、元榮財務大臣政務官が臨時総務代理として出席した。日本は、総務会合(プレナリーセッション)や総務演説において、EBRDによる新型コロナウイルス対応策(COVID-19 Solidarity Package)を評価するとともに、EBRDの限られたリソースを効果的かつ効率的に活用する観点から、引き続き、最大の移行効果が見込まれる中央アジアやモンゴルを始めとする市場経済への早期移行段階の国(Early Transition Countries)に対する支援を重点化すべき旨を指摘した。また、日本として、中期戦略(Strategic and Capital Framework 2021-2025)の合意に基づき、EBRD支援対象国の拡大について、引き続き建設的な議論を行っていく意向を示すとともに、EBRDの支援を卒業した国が、危機等で再びEBRDによる支援が必要となった場合に、一時的に支援対象国に戻ることを可能とする仕組み(Post-Graduation Operational Approach)に関する議論を支持する旨を表明した。更に、東京にあるEBRD代表事務所の重要性を指摘しつつ、日本の技術・知見をEBRDの支援に一層活用するため、同事務所がその機能を更に発揮していくことを期待する旨を示した。なお、プレナリーセッションの冒頭では、総務会議長(ドナフー・アイルランド財務大臣)より、本年8月1日から日本人の小口一彦氏が新事務局長に就任することについて言及があり、祝辞が述べられた。6終わりに新型コロナウイルスの感染拡大が収束を見せない中で、各RDBsともにバーチャル形式での年次総会という異例の対応が求められているが、こうしたRDBsの年次総会における議論を通じて、各地域の状況を踏まえた新型コロナウイルス危機への対応と、危機からの強靭で持続可能な復興が更に促進されることを期待したい。 ファイナンス 2021 Aug.21地域開発金融機関(RDBs)の年次総会について SPOT

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