ファイナンス 2021年8月号 No.669
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は約166万人、死亡者数は約4.5万人となっている。感染者数は、2020年末から2021年初めにかけて急増しており、年末年始休暇で人流が増加したことが一因とされている。この時期に移動するためには、陰性証明が必要とされたが、これが逆に、「陰性を証明できれば旅行しても問題がない」と捉えられ、結果的に感染急増に寄与したものと思われる。タイでは、2020年1月12日に中国国外で世界初となる感染者が確認された。1日あたりの新規感染者数は2020年3月に一度大きく増加したものの、その後減少し、しばらく新規感染者、死亡者が急増することもなく、安定した状態が続いていた。しかし、2020年12月中ごろにバンコク西郊サムットサコン県で起きたミャンマーからの出稼ぎ労働者を中心とした大規模感染が発生すると、その後若干の減少局面はあったものの、4月末時点では1日あたりの新規感染者数は2,000人前後と増加傾向となっている。ベトナムでは、2020年1月22日に国内初の感染者が確認されたが、その後の厳格な対策により、一定の封じ込めに成功し、死亡者数も2020年7月30日までゼロという状態が続いていた。しかし、2021年1月28日には、北部のハイズオン省とクアンニン省の市中感染が発生すると1日あたり新規感染者数が100人を超えた。その後は再び厳しい感染対策によって新規感染者数は減少したものの、4月末には14日間の強制隔離を終えた入国者から、COVID-19への感染が確認されるなど予断を許さない状況が続いている。(2)経済情勢2020年はアジアの多くの国でマイナス成長となったが、各国際機関の予測では、2021年以降は大半の国でV字回復を達成する見通しとなっている(図表3)。IMFは、2020年第3四半期に入り、アジア経済は回復の兆しを見せているものの、ロックダウンの長インドネシア、タイ、ベトナムの3ヵ国のワクチン接種は、2021年以降に始まった。2021年4月末現在、インドネシアは既に総接種回数が2,000万回を超えており、人口100人当たりの接種回数でみても7.34回と3ヵ国の中では順調に接種を進めている。タイもインドネシアには及ばないものの、147万回の接種が終わり、人口100人当たりの接種回数でみても2.12回と接種が進んでいる。ベトナムは3ヵ国の中では1番遅れており、総接種回数は51万回、人口100人当たりの接種回数も0.53回となっている。ベトナムは使用ワクチンとしてはイギリスのアストラゼネカ製ワクチンのみ認可している。他2国と違い中国のシノバック社製を使わない理由として一部の報道では、中国に対する国民の不信感があるとされている。インドネシア、タイ、ベトナムのワクチン接種状況(2021年4月末現在)インドネシアタイベトナム総接種回数2,006万8,537回147万7,078回51万9,262回2回の接種が完了した人数764万6,284人38万1,848人9,407人使用ワクチンシノバック、 アストラゼネカシノバック、 アストラゼネカアストラゼネカ人口100人 当たりの 接種回数7.34回2.12回0.53回(出所)Our world in date、在デンパサール日本国総領事館ホームページ、在タイ日本国大使館ホームページ及びREUTERSを基に筆者作成コラム(1):ワクチンの接種状況図表2 ASEAN9ヵ国の累計感染者数(2021年4月末時点)01,800,0001,600,0001,400,0001,200,0001,000,000800,000600,000400,000200,0002020/1/222020/2/222020/3/222020/4/222020/5/222020/6/222020/7/222020/8/222020/9/222020/10/222020/11/222020/12/222021/1/222021/2/222021/3/222021/4/22(人)(出所)The Humanitarian Data Exchange及び国際連合を基に筆者作成インドネシアフィリピンマレーシアミャンマータイシンガポールカンボジアベトナムラオス ファイナンス 2021 Aug.11ASEAN3ヵ国のコロナ禍の情勢と財務総研ASEANワークショップの活動報告SPOT

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