ファイナンス 2021年8月号 No.669
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国税納付手続のキャッシュレス化の具体的な取組は、財務省の「オンライン利用率引上げの基本計画」に示されている(P5参照)。国税納付手続のキャッシュレス化の目標設定に当たっては、「2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とする」ことを目標とした「成長戦略フォローアップ」(令和2年7月17日閣議決定)を参考に、過去からのキャッシュレス納付割合の進展状況のほか、今後の利用勧奨の強化や既存の納付手段の改善等の具体的な取組も踏まえた。現状では金融機関窓口での納付が67.1%(令和元年度)を占めており、事業者においては、従業員給与などの国税以外の支払に合わせて国税の納付を行っている実態がある。今後、金融機関の窓口業務が非接触型に切り替わっていけば、国税以外の支払に係るキャッシュレス化が進展すると考えられ、国税の納付手続においても一層のキャッシュレス納付割合の向上が期待される。実際の取組ではダイレクト納付の拡大に関する課題を「関係民間団体や金融機関と連携した利用促進」と「納税者のニーズや技術動向を踏まえ、納税者の利便性の更なる向上」に分けて、アクションプランなどを設定している。前者は関係民間団体や金融機関と連携した利用促進が必要であることから、3つのアクションプランを設定している。アクションプランaでは、関係民間団体、金融機関及び税理士を通じた利用勧奨、説明会の開催や金融機関窓口等へのリーフレットの備付等による周知・広報を行う。アクションプランbでは、ダイレクト納付の利用届出(振替納税の依頼)のオンライン手続の利用可能金融機関を拡大する。アクションプランcでは、国税及び地方税のキャッシュレス納付割合を向上させるため、金融機関や総務省等と意見交換会を定期的に開催し、協働して対応策を検討・実施する。アクションプランa、b、cともに取組期限(期間)は、令和5年度末までとしている。中間KPIとして、令和5年度末までに、ダイレクト納付の利用届出の累計提出件数476,792件(ダイレクト納付の利用届出の累計提出件数)を目標とする。後者では、一つのアクションプラン設定している。アクションプランaとして、スマートフォンを使用した決済サービスの利用が拡大していることを踏まえ、同サービスによる国税の納付を可能とする。これは今後導入が予定されている。また、中間KPIとして令和5年度末における、スマートフォンを使用した決済サービスによる納付件数40万件を目標としている。窓口で納付している納税者の電子申告の割合法人税 78.4%法人 77.6%(消費税、法人税)消費税 77.0%申告所得税 47.9%個人 48.2%(消費税、申告所得税)消費税 49.7%窓口で納付している納税者の電子申告割合は高く、納付も電子納税等(キャッシュレス納付)が行われるよう、(1)利用勧奨、広報・周知、(2)既存の納付手段の改善、(3)新たな納付手段の提供(多様化)を推進する。税目別人格別8 ファイナンス 2021 Aug.

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