ファイナンス 2021年8月号 No.669
11/84

(自主納付分)と納期限が同じ個人住民税(特別徴収分)もダイレクト納付が可能になった。源泉徴収義務者にとっても、キャッシュレス納付の利用メリットが増したことから、源泉徴収義務者を第一順位の勧奨対象と位置付け、利用拡大に向けて積極的に取り組んでいく。「既存の納付手段の改善」では、令和3年1月から個人事業者のダイレクト納付及び振替納税の利用届出手続のオンライン化が実施された。これまで国税の振替納税を利用する場合には、事前に税務署又は希望する金融機関に振替依頼書を書面で提出する必要があったが、パソコン、スマートフォンからe-Taxを使って簡単な操作で提出できるようになっている。同様に個人のダイレクト納付利用届出書もe-Taxを使って提出できるようになっている。「新たな納付手段の提供」では、新たな決済手段の活用を進めていく。その一つとしてスマートフォンのアプリ決済サービスを使用した納付を可能とする仕組みを導入する予定。税額は30万円以下に限定されるが、納付書で納付できる国税の全てを対象とし、税目による制限はない。各国税局は関係民間団体や 地方公共団体と連携キャッシュレス納付の利用拡大に向けては、各国税局で策定した中期取組方針に沿って、関係民間団体や地方公共団体、金融機関等の協力を得て組織的かつ計画的に利用勧奨をする必要がある。一方、国税庁では最新の技術動向を参考にしながら既存の納付手段の改善や新たな納付手段の提供の検討も進めている。新型コロナウイルス感染症の影響によって、キャッシュレス納付の利用勧奨において対面による働きかけが困難になっている。現在、現金納付の利用者の大半は金融機関の窓口利用者であることを踏まえ、国税庁と国税局、税務署がそれぞれ金融機関や関係民間団体と連携し、キャッシュレス納付の利用勧奨をしていく。特に納付機会の多い源泉所得税(自主納付分)や法人の消費税中間申告を窓口で納付している納税者をターゲットにしていく。キャッシュレス納付の推進に向けた今後の取組現状と課題・国税の納付は現状、全体の4分の3が金融機関や税務署の窓口で行われている。・納税者の利便性向上、現金管理等に伴う社会全体のコストを縮減するためキャッシュレス納付を推進する必要がある。中期的な目標納税者が税務署等の窓口に赴くことなく、自宅や事業所で、スマート、スムーズ、スピーディに、納付できる姿。令和7(2025)年度までにキャッシュレス納付比率4割程度を目指す。具体的な取組利用勧奨、広報・周知新たな納付手段の提供(多様化)・官民連携による周知強化・関係団体等と協力したダイレクト納付利用の働きかけ既存の納付手段の改善・ダイレクト納付及び振替納税の届出の電子化(令和3年1月導入)(技術動向の今後の動向を見据えた)・新たな決済手段(スマートフォンのアプリ決済サービス)の活用 ファイナンス 2021 Aug.7令和7年までに40%へ国税のキャッシュレス納付拡大に向けた国税庁の取組特集

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る