ファイナンス 2021年7月号 No.668
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自然災害の増加で インフラ整備が急務にここ数年の財政投融資では、低金利環境を生かして成長戦略を後押しする計画が組まれてきた。これを踏まえて令和3年度の財政投融資計画には主に3つの方向性がある。一つ目はコロナ禍で影響を受けた企業への支援だ。国民が自粛生活を余儀なくされるなかで消費が落ち込み、業績が悪化した企業の資金繰りを支援する。二つ目は低金利を活用したインフラ整備。これは以前から継続してきたものだが、このところ自然災害なども増えていることから、国土強靭化等を加速するものだ。三つ目は、前述の二つを受けてポストコロナを見据えた財政投融資を行うもの。日本の成長を目指すためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、規制改革を受けた資金ニーズへの対応、東京への一極集中の是正、気候変動への対応などが欠かせない状況になっている。これらの課題に財政投融資がどう貢献できるかを探っていく。これまでにも、洋上風力発電や自動車向けの水素ステーションなどESG関連の事業などにも財政投融資が活用されている。令和3年度もこうした時流に沿った分野での財政投融資の活用を計画しており、主に3つのポイントがある。令和3年度財政投融資計画の方向性新型コロナへの万全な対応(企業の資金繰り)ポストコロナを見据えた財政投融資DXの推進、規制改革を受けた資金ニーズへの対応、東京への一極集中の是正、気候変動への対応。低金利を活用したインフラ整備・国土強靭化等の加速123令和3年度の財政投融資のポイントコロナへの対応を万全にしつつ 低金利生かし国土強靭化を加速防災まちづくりに財政投融資が活用された例老朽木造住宅除却行き止まり解消道路拡幅等を通じた、災害時避難経路の確保高知道(新宮~大豊)4 ファイナンス 2021 Jul.

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