ファイナンス 2021年7月号 No.668
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過去の「シリーズ日本経済を考える」については、財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html「第2回貿易・国際物流ワークショップ」を開催シリーズ日本経済を考える1141.はじめに2021年5月18日、財務総合政策研究所・株式会社日通総合研究所共催で、「第2回貿易・国際物流ワークショップ」を開催した。貿易と物流を巡る世界情勢の変化は加速を続けており、同分野に関する最新の動向について知見を共有し理解を深めておくことが必要との認識のもと、本ワークショップでは、新型コロナウイルス感染拡大による影響を中心とした、最近の国際物流を取り巻く環境をテーマとした。財務総研からは、新型コロナウイルス感染拡大を受けた国際物流の概観と、ブロックチェーンを活用した貿易金融プラットフォームの現状についての報告が行われた。日通総研の田阪リサーチフェローからは、インターモーダル輸送やチャイナ・ランドブリッジ(CLB)の概要、コロナ禍におけるCLBの動向や、CLBが抱える課題について説明が行われた。また、拓殖大学の松田教授からは、新型コロナウイルス感染拡大後の国際海上コンテナ輸送の動向として、コンテナ不足や、港湾混雑、運賃高騰等の現状およびその背景に加え、今後の見通しについての報告が行われた。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大を避ける措置の一環としてオンライン形式で行われ、財務省内および株式会社日通総合研究所から約50名が参加した。以下、それぞれのセッションでの報告内容を紹介する。2.各発表の概要2.1  新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた国際物流の概観(発表者:財務総合政策研究所主任研究官 曽我奈津子、研究員 虫明英太郎)(1) 「新型コロナウイルス感染拡大後の貿易動向」(発表者:虫明研究員)2020年の世界全体の輸出総額が対前年比7.6%減少した中で、生産活動の再開が早く、マスクなど需要が増加した品目に比較優位を持つ中国の輸出シェアが拡大している。日本の貿易をみると、2020年の輸出額は11.1%、輸入額は13.7%、それぞれ前年から減少している。欧米向けの自動車・一般機械の輸出や、中東からの燃料の輸入などが減少する一方で、中国への重工業製品の輸出や中国からの繊維製品の輸入が増加しており、輸出入ともに中国のシェアが拡大した。また、コロナ禍で需要が増加したと考えられる品目について、日本の輸入動向を説明した。マスクや消毒液等の衛生用品、使い捨て手袋等の医療用品、ノートパソコン等のテレワーク用品は、8割以上が中国から第2回貿易・国際物流ワークショップ 議事次第テーマ発表者新型コロナウイルス感染拡大を受けた国際物流の概観財務総合政策研究所主任研究官 曽我奈津子研究員 虫明英太郎ブロックチェーンを活用した貿易金融 プラットフォームの現状財務総合政策研究所副所長 高見博新型コロナウイルス感染拡大が一帯一路の一環としてのチャイナ・ランドブリッジの運行に与えた影響株式会社日通総合研究所リサーチフェロー 田阪幹雄COVID-19と国際海上コンテナ輸送の動向拓殖大学商学部教授松田琢磨財務総合政策研究所 主任研究官曽我 奈津子財務総合政策研究所 研究員虫明 英太郎60 ファイナンス 2021 Jul.連載日本経済を 考える

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