ファイナンス 2021年7月号 No.668
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コロナ禍は「人との接触の制限」が求められたことが、これまでの経済危機と異なる点である。2020年は婚姻数も妊娠届出数も低下しており(図表21)、2021年の出生数は約1割減少する見込みとなっている(図表22)。コロナ禍の中、子育て世代で「夫の役割が増加した」家庭は、「妻の役割が増加した」家庭より夫婦関係が良くなったとの回答が多い。コロナ禍では、健康、将来全般、生活維持や収入、仕事に不安を感じている人が増えている。図表21 婚姻数の推移(単位:件)2018年2020年2021年2019年100,00090,00080,00070,00060,00050,00040,00030,0001月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月図表22 出生数の推移(単位:人)85,00080,00075,00070,00065,00060,00055,0001月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月2018年2019年2020年2021年3最後に政府は「少子化対策」を行っているが、なかなか自分ごととして捉えることが難しい人も多いのではないかと思われる。一人一人の個人が子どもを持ち、育てるという選択を取るか否かは、それぞれの個人の意思と選択の問題であるが、様々な選択が可能となるような仕組みや社会のあり方を考えることが重要であることも、本研究における様々な視点を通して明らかとなった。本研究会の報告書が、多くの方にとって、これからどのような社会としたいのか、そのためには私たちは何をすべきかを議論する際の参考となることを期待している。■「人口動態と経済・社会の変化に関する研究会」URLhttps://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2020/jinkou.htmなお、本報告書の各章で示された意見や本稿の意見はすべてそれぞれの執筆者個人に属し、財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではない。図表20 乳児割合と延床面積と通勤時間の関係(世田谷区)①~③から得られた示唆通勤時間が短いエリアでも、家賃が高いと乳児の割合が下がる傾向にある。⇒家賃が高い≒延床面積が狭い④~⑦から得られた示唆通勤時間が短いエリアで、家賃が高すぎない地域は乳児の割合が高くなる傾向にある。⇒家賃が低い≒延床面積が広い(注1)地図出所は、Google map。ただし、Goran Komar氏が一般公開しているTrain Lines bgレイヤーで加工して公共交通機関の地図を重ねた。(注2)家賃出所は、SUUMO関東版より世田谷区内全賃貸物件63,146件(2021年1月20日午前11時時点)のデータ。(注3)人口出所は、平成27年国勢調査より作成。ただし、病院等が一帯を占めて乳児割合が異常値となる地域等を一律で欠損値とした。家賃凡例5431円/m2  ⇔1845円/m2欠損値は斜線とした乳児割合  9.2人  ⇔  1.3人欠損値は斜線とした ファイナンス 2021 Jul.39「人口動態と経済・社会の変化に関する研究会」の概要について SPOT

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