ファイナンス 2021年7月号 No.668
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■第8章「 未婚者の「いずれ結婚したい」はなぜ実現しないのか」網谷理沙(財務総研研究員)・中島安規(財務総研研究官)「異性とうまく付き合えない」と回答する未婚者は、経済不安や将来不安を抱える傾向が高く、交際・結婚に向けた活動を先送り「適当な相手にめぐりあわない」と回答する未婚者の男性7割、女性5割が何も行動を起こしていない(図表17)。異性とうまく付き合えないと回答した未婚者は、異性との交際自体よりも、就職やお金、自分の将来に対する心配が大きい(図表18)。自己肯定感が低い人の方が経済不安や将来不安を抱えている傾向が高く、自身の結婚や子育てに対する将来イメージを持たない割合が高い(図表19)。以上から、いずれ結婚したいと考えてはいるが、交際・結婚に向けた活動を先送りしている可能性がある。■第9章「 パネルデータと地図からアプローチする第二子出生にかかる要因分析と提言」内藤勇耶(財務総研研究官)第二子出生は、延床面積が広いと促進され、通勤時間が長いと抑制される夫婦の子供の数(完結出生児数)の減少は、第二子及び第三子の出生数の減少にも原因がある。延床面積は1平米増えると第二子出生を3%促す一方、配偶者(夫)の通勤時間は10分長くなると第二子出生を4%妨げる。また、乳児割合が高い地域は家賃が低いという負の相関関係がある(図表20)。「住まい」と出生の関係を踏まえると、子育て世代に限定した家賃補助や社宅整備等の住居支援策が有効であると考えられる。■第10章「 新型コロナウイルスの流行による少子化への影響」笹間美桜(財務総研研究員)新型コロナウイルスの流行により、健康、将来全般、生活維持や収入、仕事への不安が増し、婚姻数や出生数を引き下げ図表19 「異性とうまく付き合えない」未婚者の心配事(注1)13~29歳の未婚者(既婚者・離別・死別者を含まない。)(注2)「自分自身のイメージ(a)私は、自分自身に満足している」に対して「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した人を自分に満足している人とし、   「どちらかというとそう思わない」「そう思わない」と回答した人を自分に満足していない人とする。多くの人の役に立っている子どもを育てている幸せになっている結婚している出世している自分に満足している人の将来イメージ010080604020(%)多くの人の役に立っている子どもを育てている幸せになっている結婚している出世している自分に満足していない人の将来イメージ010080604020(%)そう思うどちらかといえばそう思うどちらかといえばそう思わないそう思わない図表17 具体的な相手を探すための行動の有無何らかの行動を 起こした男性31%女性47%何も行動を 起こしていない男性69%女性53%図表18 「異性とうまく付き合えない」未婚者の心配事就職のことお金のこと自分の将来のこと異性との交際のこと010080604020(%)どちらかといえばあてはまらないあてはまるあてはまらないどちらかといえばあてはまる38 ファイナンス 2021 Jul.SPOT

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