ファイナンス 2021年7月号 No.668
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4月6日から4月9日にかけて、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)、国際通貨金融委員会(IMFC)、世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員会(DC)が、いずれもテレビ会議形式で開催された。一連の会議では、ワクチン接種の拡がりや各国の経済対策の効果により世界経済の見通しが改善している中で、コロナ危機からの確実でよりよい回復を果たすために国際社会として何をすべきか、が議論の中心となった。以下、各会議の議論の概要を紹介したい。1G7財務大臣・中央銀行総裁会議(2021年4月6日)G7は、今年1月に議長がアメリカからイギリスに交代した。イギリスは、財務トラックの優先課題として、以下を掲げている。・雇用を守り、世界経済の回復をサポートする。・経済のデジタル化に伴う課題に対し、国際的な解決策を見出す。・世界全体として排出量ネットゼロ目標を達成できるようサポートする。・世界の最も脆弱な国々に対し、必要な手を差し伸べる。イギリスはこれまで2月、3月にも会議を開催し(3月は財務大臣のみ)、マクロ経済政策のあり方や低所得国への支援パッケージについて議論を行ってきた。今回は3回目の会議であった。今回の会議では、排出量ネットゼロに向けた取組が主な議題となった。麻生財務大臣からは、気候変動に対する途上国の取組を支援するため、世界銀行など国際開発金融機関の活用と民間資金動員の二つが重要である旨を強調した。また、気候関連財務情報開示について、日本は、プライム市場上場企業に対して気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく開示を求めるコーポレートガバナンス・コードの改訂案を公表したことを紹介した。2G20財務大臣・中央銀行総裁会議(2021年4月7日)G20については、昨年12月に議長がサウジアラビアからイタリアに引き継がれた。イタリアは、人々(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)の3つの「P」の下、財務トラックについては、以下を優先課題として挙げている。◆保健危機への対応    ◆投資や成長の促進◆グローバルな金融の安定 ◆脆弱国への支援◆公正かつ透明な税システム◆地球環境の保全◆金融セクター(サステナブル・ファイナンスを含む)イタリア議長下で2回目の開催となる今回の会議では、世界経済、低所得国支援、国際課税、気候変動などについて議論が行われ、会議後に、議論の成果をまとめた声明が発出された。あわせて、G20として協調してパンIMF・世界銀行春会合およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要(2021年4月6~9日、テレビ会議形式)国際局国際機構課長 今村 英章/国際局国際機構課 齋藤 浩暉国際局開発機関課長 田部 真史/国際局開発機関課 山本 麻莉乃14 ファイナンス 2021 Jul.SPOT

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