ファイナンス 2021年7月号 No.668
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効率的かつ効果的な検査を行う意味で、またテロ関連物資の取締りについては安全面を考慮しても、貨物を破壊することなく銃器・爆発物等の有無を確認することのできる検査機器の活用は有用です。税関では、非破壊で中身を確認できる様々なタイプのX線検査装置に加え、貨物や国際郵便物の外装等に付着した微粒子でも不正薬物や爆発物を探知することのできるTDS*5と呼ばれる不正薬物・爆発物探知装置等の各種取締・検査機器の増配備を進めてまいりました。また、税関には麻薬探知犬と呼ばれる不正薬物の摘発には欠かせない重要なパートナーがいますが、2002年以降は、爆発物にも反応するよう厳しい訓練を受けた爆発物探知犬を導入してきており、テロ対策に活用しています。(3)内外関係機関との連携強化3つ目の柱は、関係機関との連携です。テロに対する取締りには、政府が一体となって取り組むことが不可欠です。税関では日頃から、警察や海上保安庁、出入国在留管理庁等の国内関係機関と緊密な情報交換を行って連携を図っておりますが、オリンピック・パラリンピックに向けたテロ対策を行うにあたっても、日頃から行っている情報交換等に加えて、合同でテロ対策訓練を行うなど、各税関において連携*5) TDS:Trace Ditection Systemの強化を図っています。また、海外との連携も重要となります。特に世界的な犯罪組織・テロ組織が企む密輸を阻止するという共通の課題に取り組んでいる各国税関当局との情報交換は極めて重要な情報源といえます。そのため、外国税関当局との円滑な情報交換を可能とする税関相互支援協定を現在37か国・地域と締結しており、テロ関連物資の取締りにおいても、海外当局からの様々な情報を日本における取締りに活用しています。(4)業界団体との覚書(MOU)締結密輸防止の観点で、内外関係機関との連携の強化と合わせて、極めて重要となるのは、民間の各業界団体との協力関係の強化です。財務省・税関は貿易関係業界との間で、1992年より不正薬物の密輸防止について、水際での厳格な取締りと迅速な通関の両立を実現するため、税関と各種業界団体の相互理解を深め、継続的な協力関係を構築するべく、「密輸防止に関する覚書(MOU)」を締結してまいりました。具体的には、業界側は、不審物等を発見した場合の税関への通報や防犯カメラの設置等の自主警備の強化等を、また財務省側は、密輸問題に関する啓蒙活動の支援等の協力を行うこととしております。(写真)爆発物探知犬による検査の様子(写真)警察や海保との合同訓練の様子(上:大阪税関、下:長崎税関)12 ファイナンス 2021 Jul.SPOT

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