ファイナンス 2021年6月号 No.667
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かい離は27,543千円(4.8%)でほぼ一致している*4。補足すると、単位費用は法定であり、補正係数は総務省令で定められている。地方交付税の総額が毎年違うこともあり、単位費用や補正係数も年々異なっている。先の消防費だと令和元年は11,300円だったが、令和2年では11,400円となっている。4基準財政収入額について基準財政収入額は、普通交付税の算定に用いるもので、各地方公共団体の財政力を合理的に測定するために、標準的な状態において徴収が見込まれる税収入を一定の方法によって算定するものであり、以下の算式により算出される。・基準財政収入額=標準的な地方税収入×75/100+地方譲与税等標準的な地方税収入のうち25%は留保財源と呼ばれるもので、地方団体が独自の事業をする財源とされている。ポイントは、この標準的な地方税収入×75%とされているゆえに、仮に市民税や固定資産税が増えたとし*4) 包括算定経費については、消防費分は不明なのでゼロとしている。ても、普通交付税がその増えた分の75%減少するため、実際には一般財源の総額は25%しか増加しない。そして、この点について逆の見方をすると、人口が減少したり、企業の工場が撤退してしまい、「標準的な税収入(市民税や固定資産税)」が減少したとしても、普通交付税でカバーされるため、25%しか減少しない。この点が、先に「地方交付税という制度の建て付け上、歳入よりも歳出のほうが大きな意味を持つ」といった理由である。簡単な数値を用いて具体的に見ていこう(ここでは、臨財債のことは考えないこととする)。ある自治体のA年には、税収入が100だったとする。このとき、基準財政収入額はその75%なので、75となる。基準財政需要額が200と算定されているので(これがこのまま数年間は変わらないと仮定する)普通交付税は200-75で125となる。ここで収入全体(税収入と交付税しか存在しないと仮定)は100+125で225となる(基準財政需要額よりも大きくなるのは、留保財源の存在のため)。A+1年では、何らかの要因により税収入が大幅に増え、140となったとする。その際、基準財政収入額は105(140*75/100)となり、先ほど仮定したよう10基準財政需要額の費目一覧(市町村分)<R1算定ベース>消防費消防費生活保護費包括算定経費道路橋りょう費社会福祉費地域の元気創造事業費港湾費保健衛生費人口減少等特別対策事業費都市計画費高齢者保健福祉費公債費公園費清掃費下水道費農業行政費その他の土木費林野水産行政費小学校費商工行政費中学校費徴税費高等学校費戸籍住民基本台帳費その他の教育費地域振興費土木費教育費厚生費産業経済費総務費その他 ファイナンス 2021 Jun.21普通地方交付税を踏まえて、基礎自治体の財政運営について考えるSPOT

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