ファイナンス 2021年5月号 No.666
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鈴鹿市い刃先の彫刻刀で着物の文様等を丹念に彫り抜いたもので、型紙を作るには高度な技術と熟練の技が必要です。その他、「鈴鹿墨」や亀山市の「関の桶」も地域の伝統工芸品に指定されています。伊勢型紙8味うま酒さけ鈴すず鹿かの国くに鈴鹿の酒は歴史が古く、倭姫命が天照大神の命を受け、鎮座場所を現在の伊勢神宮に定めるまでの行幸の様子を書いた「倭姫命世紀」に「味酒鈴鹿国」の記述が見られます。今も鈴鹿川流域の川俣神社では、毎年「味酒祭」が行われております。これらのことより、「うまさけ」とは鈴鹿に係る枕詞として、現在に伝えられています。これは、都から伊勢神宮への道中にあたる鈴鹿の酒はおいしいということが、当時の都の人々のあいだで広く認知されていたことの証であると考えられます。三重県全体においても、江戸時代の頃から「お伊勢参り」で伊勢神宮を訪れる多くの参拝客をもてなすため、酒造りが盛んに行われていました。そうした中、令和2年6月に、国税庁より酒類の地理的表示(GI)に「三重」が指定されました。伊勢志摩サミットを契機として脚光を浴びた三重のお酒は、「三重」という地域ブランドを冠して、海外にも積極的に情報を発信しています。鈴鹿市の酒蔵が造る日本酒「作ざく 智 純米大吟醸滴取り」は、伊勢志摩サミットの乾杯酒として一躍有名になりました。その後、国内での人気に留まらず、令和2年11月には、フランスで開催された日本酒コンクール「Kura Master」の最高賞である「プレジデント賞」に輝きました。9世界に誇る国際レーシングコース「鈴鹿サーキット」は、わが国で初めての本格的なレーシングコースとして誕生して以来、日本のモータースポーツの中心地であり続けています。昭和62年から始まった「F1日本グランプリ」や、40回以上の開催を数える「鈴鹿8時間耐久ロードレース」などが有名です。鈴鹿8耐レース10おわりに鈴鹿市及び亀山市は、日本書紀・古事記で描かれた古代のロマンあふれる名所から、GI三重のブランドを冠した美味しいお酒もあり、世界に名立たるサーキット場を擁するなど、歴史と伝統が融和する魅力たっぷりなまちです。三重県は、伊勢神宮など、観光名所がたくさんありますので、三重県にお越しの際は、是非、鈴鹿市及び亀山市にもお立ち寄りください。(写真提供:一般社団法人鈴鹿市観光協会、一般社団法人亀山市観光協会、椿大神社、大黒屋光太夫顕彰会、鈴鹿サーキット、清水清三郎商店株式会社)作 智 純米大吟醸滴取りGI三重のシンボルマーク86 ファイナンス 2021 May.連載各地の話題

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