ファイナンス 2021年5月号 No.666
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半田市半田運河と醸造蔵4常滑焼 重要無形文化財知多半島での本格的な窯業生産は平安末期から始まり、やがて全国有数の生産地となっていきました。現在では知多半島の焼き物としては常滑焼が歴史を引き継いでおり、日本六古窯の一つに数えられています。常滑焼は国の重要無形文化財に指定され、知多半島で採れる鉄分を多く含んだ陶土を使った朱色の焼き上がりが特徴で、滑らかでとても繊細な焼き物として人気があります。常滑の町を歩くと、いたるところに朱色の土管が埋め込まれた風景を目にし、窯業の町としての歴史を感じます。昭和初期ごろに栄えた窯業集落の一帯に作られた「やきもの散歩道」にはおしゃれなカフェや雑貨屋も立ち並んでおり、SNS上でもレトロとモダンが融合する「映える」フォトスポットとして若者に大人気です。やきもの散歩道の土管坂5知多四国霊場 知多四国八十八ケ所知多半島には、「弘法さん参り」と親しまれ、知多半島の寺院を一周する順路を巡る「知多四国八十八ケ所巡り」があります。弘仁5(814)年に、東国を行脚していた弘法大師が知多半島に上陸した際、風土や地形が四国に似通っていることに驚き、そのことを歌に詠んで残しています。その後、1,000年の時を経て、文化6(1809)年に知多市の妙楽寺(79番札所)の住職(第十三世亮山)の夢の中で弘法大師のお告げがあり、知多四国霊場は始まりました。霊場には歴史上の人物にゆかりのある寺院も数多くあります。51番札所の野間大坊は源義朝(源頼朝の父)の最期の地である美浜町野間にあり、境内には義朝の墓もあります。NHK大河ドラマ「平清盛」でも描かれた義朝の最期を遂げるシーンは記憶に新しいと思います。他にも15番札所の洞雲院は徳川家康の生母である於大の方の菩提寺であり、53番札所の安養院は豊臣秀吉との跡目争いに敗れた信長の三男、織田信孝が自害した地でも知られています。数々の歴史の舞台となった寺院巡りもロマンを掻き立てられます。野間大坊6知多の祭り 絢爛豪華な「はんだの山車」知多半島の春はあちらこちらの各地で山車祭りが行われます。週末ともなれば、祭囃子が遠くから聞こえてきて、春の訪れを感じさせます。同じ山車でも半田・常滑・武豊・南知多・内海とその地区によりからくりがあるもの、舟に乗ったものなど様々です。特に半田の山車祭りは必見で、「半田の春まつり」と82 ファイナンス 2021 May.連載各地の話題

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