ファイナンス 2021年5月号 No.666
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長野県松本市のシンボル、国宝松本城は江戸時代の天守が現存する数少ない城だ。白銀の北アルプスを遠景に漆黒の松本城が映える旧城下町は夏川草介の小説「神様のカルテ」の舞台で、櫻井翔主演で映画化されたときにはロケ地になった。主人公が勤める「本庄病院」は24時間365日の救急医療が看板の地域中核病院。モデルとなった松本市本庄の相澤病院は、2018年平昌五輪の金メダリスト、スピードスケートの小平奈緒選手が所属することでも知られている。県下第二の都市、松本市の人口は県都長野市の約3分の2の24万人。筆者の印象だが人口の割に都会に見える。信越本線の長野市に対し中央本線の松本市。車のナンバーも「松本」で同じ長野県でも長野市とは別の地域圏を形成している。歴史を辿れば明治4年(1871)から9年(1876)まで長野県とは別に筑摩県があり、松本市にはその県庁があった。合併後も拠点機能の一部は松本市に置かれた。例えば日本銀行の支店や旧制高校は松本市にできた。その流れで信州大学の本部は松本市にある。県の調査によれば39市町村からなる松本商圏の人口は平成30年(2018)で松本市の人口の2.5倍あり、長野市と同水準の61万人だった。商圏でみれば県都と肩を並べることがわかる。善光寺街道の親町3町城下町の南北軸は外堀に沿ってクランクした善光寺街道である。およそ外堀の内側が武家屋敷で、商業地が街道に沿って南北に延び、北端が下級役人の住宅街になっていた。町割りを称して「親町3町、枝町10町、24小路」といい、親おや町まちとされた本ほん町まち、中町、東町が街の中心だった。街の防御を念頭に城下町の外郭に寺社が置かれた。親町3町でも本町は明治以降金融街の様相を呈した。千国街道、野麦街道が枝分かれする交通の要衝である。今も通りの突き当りに地域一番行の八十二銀行の松本支店がある。認可順に番号が振られた国立銀行を源流図1 市街図 (出所)筆者作成本町女鳥羽川はやしや→パルコ井上井上跡日銀旧勧銀片倉製糸場跡イオンモール松本駅周辺区画整理城下町の町割旧街道六十三跡旧安田十九跡開智学校跡信州跡(善光寺街道)卍卍卍卍卍卍卍卍卍市役所跡日銀跡四柱千歳橋(あがたの森通)旧電車通旧制松本高校跡あがたの森公園→旧電車通大手門跡58 ファイナンス 2021 May.540C560C610C620C400D400D400D570C630C660C650C550C610C600C420D420D400D400D400D410D410D410D420D440D390D390D390D320D320D370D340D970C275D290D270D870C850C870C900C870C360D360D500D730C510C510C810C490D1,090C1,200C1,410C1,380C1,520C1,620C1,650C1,560C1,570C1,510C1,720C2,100C2,240C2,210C2,160C2,350C2,390C1,900C1,500C1,430C1,130C1,150C1,500C1,550C2,600C2,550C2,430C2,310C1,730C1,080C255E295E240E320D275D470D470D540C路線価でひもとく街の歴史第15回 「長野県松本市」共存共栄が根づいたハイセンス城下町連載路線価でひもとく街の歴史

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