ファイナンス 2021年5月号 No.666
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財務省では、常に国民の視点に立って、高い価値を国民に提供できる組織風土をつくり上げていくため、「財務省再生プロジェクト」を進めています。その一環として、部局横断的な議論の活性化や職員の政策能力向上を図るため、若手の課長補佐を中心とした有志勉強会を開催しており、「コロナ後の様々な政策課題」をテーマとして活動しています。今回ご登場いただく3名の有識者の共通点は、日本の金融界の複数の分野でご活躍されてきた経験です。野﨑浩成先生は、当時の都銀、銀行担当の証券アナリストを経て、現在はアカデミアや政府の審議会でご活躍されています。新田信行先生は、メガバンクの役員を経て、東京地盤の信用組合でトップを務められるとともに、「リレーションシップ・バンキング」の考え方を広める著作を世に出されています。小野尚先生は、大蔵省(財務省・金融庁)を経て、SBIのグループ企業のトップを務められています。お3方から、日本のファイナンスの現状を俯瞰したご意見をお聞きした模様をご紹介します。1野﨑 浩成先生(東洋大学国際学部教授)プロフィール1986年慶應義塾大学経済学部卒。1991年エール大学経営大学院修了。博士(政策研究、千葉商科大学)。埼玉銀行、エービーエヌアムロ証券会社、HSBC証券会社、シティグループ証券、京都文教大学を経て2017年4月より現職。著書に『消える地銀、生き残る地銀』(日本経済新聞出版)等多数。2015、2020年金融審議会専門委員。―日本の銀行、特に地域金融機関については、収益環境が悪化していると言われています。まずは、収益環境悪化の背景にある日本経済の構造変化についてお聞かせください。野﨑 日本企業が生み出す付加価値の分配先を見ると、銀行の取り分が激減しています。企業の付加価値は、給与として労働者へ、利益や配当として資金の出し手である銀行や投資家等に分配されますが、図1は、資金の出し手に絞った付加価値の分配先を示したものです。株主としているのは配当金ですが、内部留保も究極的には株主に帰属しますので、分配先をエクイティとデットに区分すると、デットへの分配が減り、財務省再生プロジェクト  部局横断的勉強会(3)「地域を支えるファイナンスとは?」編大臣官房地方課総務室長 川本 敦/国際局為替市場課資金管理室課長補佐 林原 賢悟大臣官房秘書課財務官室課長補佐 足立 直也/金融庁総合政策局国際室課長補佐 大槻 裕明関税局関税課課長補佐 神代 康幸16 ファイナンス 2021 May.SPOT

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