ファイナンス 2021年5月号 No.666
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今後の行財政運営のあらゆる場面において、“バックキャスティング”思考を忘れずにいることで、今回、各課の垣根を超えて議論した“理想の未来”が現実の未来になることを期待せずにはいられません。(ウ)簡易分析版での研修会の実施前述の(1)の「全団体に対して財務分析結果を提供」をきっかけに実現した事例を紹介させていただきます。山形県飯豊町は行財政改革の真っ只中にあり、改革内容を検討していくにあたり、財政の理解を深めていく必要があるとの問題意識を持っていたようです。そうした折、山形財務事務所が提供した財務分析結果に関する資料を見た町の財政担当課の方が「これは活かせるかも」とお考えになり、山形財務事務所に対して「財政勉強会」の開催の要望がありました。研修会の内容に関し、「基本的なところから丁寧に説明してほしい」との要望を受けたことから、基本的な用語の説明も行いつつ、他団体との比較を織り交ぜながら説明を行いました。参加者からは、「かなりの危機感をもって取り組む必要があることを認識した」、「分析指標を家計に例えた説明がわかりやすく、類似団体・県内団体との比較により、本町の立ち位置を確認することができた」との感想をいただきました。今回、飯豊町で開催した研修会は、“簡易版”の分析結果を基にした説明とはなりますが、いただいた感想のとおり、内容の濃いものとなっております。興味があってもコロナ禍で開催を遠慮している団体もあるかもしれませんが、オンラインを活用した研修会も可能であることから、東北財務局としては、さらに多くの団体で開催していきたいと考えています。4東北各地への広がり当局の幹部が管内の市町村長にお会いした際に財政研修会などの取組を紹介すると、大変光栄なことに次のようなご感想を頂戴します。「「まちの家計簿シミュレーション」はとてもいい取組だ。ぜひうちでもやってほしい」「周りの首長から良い噂を聞いている」「うちの財務分析をしていただけないか」「職員の人材育成に活用したい」などなど…。また、財政課の方からは、「財政課からいくら言っても職員は聞いてくれないので、財務局から職員や議員に対して、まちの財政状況について説明してもらえないか」「首長に財政バランスを意識した運営をしてもらうためにも、財政状況を包み隠さず伝えてほしい」「無料でやってもらえて助かる(笑)」などなど…。こうした団体側の感想が口コミなどで少なからず広まっているのでしょうか、財政研修会の取組は東北各地で広がっています。【参考】東北財務局 財政研修会 開催実績開催年度実施団体令和元年度藤里町(秋田県)、 涌谷町・利府町・岩沼市(宮城県)令和2年度大槌町(岩手県)、村田町(宮城県)、 飯豊町・戸沢村(山形県)令和3年度 (予定)青森県2団体、岩手県2団体、 山形県1団体、宮城県4団体、福島県3団体※令和元年度以降の実績。(令和3年度は3月末時点)5おわりに財務局の“使命”は「地域の特性を踏まえた施策を「実施」し、「地域に貢献」する」ことです。東北財務局の局長の原田が常々言っていることですが、私たちを取り巻く環境は、デジタル化・人口減少・気候変動という3つの大きな変化が起きており、未来は過去の延長線上にはなく“変革”が求められているのではないでしょうか。財務局では、団体が抱える課題やニーズに対する支援を通じて、今後も持続可能な地域社会実現へのサポートを実施してまいります。【参考】研修会の模様(山形県飯豊町) ファイナンス 2021 May.15持続可能な地域社会実現へのサポート SPOT

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