ファイナンス 2021年5月号 No.666
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を確認する必要があります。この確認方法として、財務局では独自の分析手法を用いて、毎年、財務状況の分析(「財務状況把握」)を行っています。【図1】(令和2年度は全国で約200団体に対し詳細な財務状況把握を実施)(2) 財務省の独自分析手法~キャッシュフローを見ています~団体の財務分析には、様々な分析手法・指標があります。代表的なものとしては、総務省の「健全化判断比率」が挙げられます。団体は毎年度、健全化判断比率の各指標を算定して、監査委員の意見を付して議会へ報告することとされています。他方、財務局の財務分析には、2つの大きな特徴があります。1つ目は、統計的な処理により独自の財務指標を作成し、「債務償還能力」(長期的視点)、「資金繰り状況」(短期的視点)を把握しており、「キャッシュ(現金預金)の流れを捉える」という、企業会計と同様の見方を採用していることです。【図2】会社経営では、黒字倒産(資金繰り倒産)を防ぐためのキャッシュフローの視点が重要ですが、その視点は団体も同様です。団体の“倒産”というとイメージがわかないかもしれませんが、資金繰りが悪化することにより、事業の縮小、つまりは公共サービスの低下に直結していく恐れが出てきます。(3)団体“外部”からの客観的な分析2つ目の財務局の財務分析の特徴は、団体の財政運営に対する“外部”からの分析という点です。都道府県や政令指定都市のような大規模な団体であれば、監査法人等の包括外部監査や市民オンブズマン等の外部機関によるチェック機能が働いている場合が多いですが、小規模な団体の中には、団体自らのチェック機能に依るほかない場合も少なくありません。しかも団体の官庁会計は、企業会計と異なり、独特の算定方法となっていることから、いくら自分たちが住んでいるまちとはいえ、十分に財政状況を理解している住民は決して多くはないのではないでしょうか。以上のとおり、“キャッシュフロー”という企業会計ベースかつ“外部”目線で分析を行っていることが財務局の財務分析の特徴と言えます。2コンサルティング機能の発揮コンサルティングでよく用いられるフレームワークとして「空(事実認識)・雨(解釈・現状分析)・傘(解決策)」がありますが、財務局は「傘」部分への支【図2】財務分析の手法P2【図2】財務分析の手法※4.20差替え後 ファイナンス 2021 May.11持続可能な地域社会実現へのサポート SPOT

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