ファイナンス 2021年5月号 No.666
14/96

0地方公共団体の財政課の悩み…地方公共団体の財政課の方から、このような悩みをよくお聞きします。「要求された分の予算はつけてあげたいけど、自分たちのまちの財政状況をわかって要求しているのかなあ」「これまでずっと『財政が厳しい』と言い続けてきたのに、財政課の言うことをなかなか理解してくれない」「職員、住民にどう伝えれば、町の財政状況をわかってもらえるのかなあ」などなど…。財政課の悩みは尽きないようです…。さて、今回寄稿させていただく内容は、財務省の総合出先機関である「財務局」が取り組んでいる、地方公共団体(以下、団体)の財政課への“サポート”事例です。新型コロナウイルス感染症は団体の財政にも様々な影響を及ぼしています。団体の“貯金”に相当する積立金の取崩しが発生しているほか、限られた財源を活用し、新型コロナ対策として様々な独自政策を打ち出す団体も見受けられます。withコロナ、そしてafterコロナの今後の地域社会を持続可能なものとするために、“地方の財務省”として、地方公共団体の財政にお役立ちできるであろう財務局の取組事例をご紹介させていただきます。1地方公共団体の財務状況の把握について財務局は、地域と財務省・金融庁をつなぐネットワークの結節点としての役割が期待されている財務省の総合出先機関です。団体の財政課の方々からみると、財務局のイメージは、団体の借金である地方債の“貸し手”のイメージが強いと思われますが、今回は財務局の取組の中でも“地方財政”の分野に焦点を当ててご紹介させていただきます。(1)国の資金の“貸し手”としての役割財務局が行っている財政融資は、国が国債を発行して調達した資金などを原資として、団体に融資を行う仕組みです。民間金融機関において、民間企業等の債務者の財務状況を分析しているように、借り手が団体といえど、資金の貸し手である国としては、貸付金の償還確実性持続可能な 地域社会実現へのサポート~地方財政研修会の実施~【図1】財務局における財務状況把握の流れ東北財務局理財部融資課 課長 八鍬 正樹同 上席調査官 松山 孝行/同 調査官 金澤 康倫10 ファイナンス 2021 May.SPOT

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る