ファイナンス 2021年5月号 No.666
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同僚の誘いで運び屋になり懲役8年が科せられた事例も不正薬物の密輸入は法令で禁止されており、違反した場合には厳しく罰せられる。関税法第109条では、「輸入してはならない貨物」を輸入した者は「10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められている。また、「輸入してはならない貨物」は関税法第69条の11に定められており、「麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚醒剤」等が規制されている。近年、「運び屋」という言葉が新聞等を賑わせていることがあるが、犯罪組織では組織の構成員が海外から運んでくるのではなく、高額な報酬を提示するなどして運搬役をリクルートするケースが多い。中身を明確に伝えず「品物を日本へ運ぶこと」を依頼することもあり、意図せず運び屋になってしまうことも少なくない。不正薬物の密輸は重罪であり、知らなかったでは済まされない。不正薬物の密輸に関わってしまうことがないように税関では10年ほど前からチラシなどを作成し、海外で他人から不審な荷物を絶対に預からないように注意をうながしている。不正薬物の持ち込みは海外でも厳しく処罰されており、死刑となる国もある。不正薬物の密輸入は法令で厳しく罰せられる不正薬物の精神・身体への影響部位影響脳脳の委縮、脳出血〔記憶力低下・ぼけ症状〕眼視神経の異常、眼底出血〔視力低下・失明〕気管支粘膜異常〔気管支炎〕肺粘膜異常〔肺がん〕胃胃粘膜の異常及び出血〔胃痛・吐き気・嘔吐〕骨髄赤血球の形成異常〔貧血〕関税法第109条「輸入してはならない貨物」に掲げる貨物を輸入した者は、10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。関税法第69条の111 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚醒剤、あへん吸煙具2 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)3 拳銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及び拳銃部品4 爆発物など密輸に関わらないための啓発活動「密輸ダイヤル」の設置などで国民が運び屋になってしまうことを阻止8 ファイナンス 2021 May.

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