ファイナンス 2021年4月号 No.665
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(2)産業構造次にインドネシアの産業別GDPについてみていきます。需要項目別GDPを紹介した際に、外需は輸出と輸入がおおむね一致しているため、ほぼゼロであることをお伝えしました。コロナ禍を迎える前は、インドネシアは毎年5%程度の成長を続けていましたが、それはほとんど内需の成長によって達成されてきた数字となります。したがって、外需成長分だけ可能性があると考えることはできるかもしれません。他方、外需を伸ばすためには製造業の成長が必要不可欠ですが、GDPに占める製造業の比率は、2002年以降徐々に減少しています。基本的には、人口が増加する限り内需は成長していきますので、新型コロナの感染状況が落ち着けば平均して5%程度の成長にもどると思いますが、中所得国の罠を脱するためには、製造業比率の上昇が重要であると考えられておりますので*13、インドネシアがその可能性を実現するためには、こうした産業構造の改革が必要不可欠である、と言えそうです。*13) https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sa13-02/html/s2_13_2_1.html産業別GDP比率の推移22%22%21%21%20%20%20%20%01009080706050403020102010201320162019(%)(年)(OECD statより著者作成)農林水産業情報通信金融サービス不動産公務等その他製造業エネルギー建設業小売・卸売製造業比率の各国比較10353025201519941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019(%)(年)(世界銀行より著者作成)インドネシアタイフィリピンマレーシアベトナム中国ジャカルタといえば、「交通渋滞」のひどさで世界的にも有名です。コロナ禍による行動規制によって、一時に比べると緩和されましたが、それでもラッシュ時は非常に混雑しています。写真は大使館から道路を挟んで徒歩5分の距離にあるプルマンホテル。車で行くと時間帯によっては30分くらいかかります。こうした交通渋滞の原因は数多くあるものの、その理由の一つには、道の細さが挙げられると思います。ジャカルタのメインストリートであるスディルマン通りは広いものの、一本外れると細い道となり、その道に入ろうとして渋滞が発生なんてことはざらにあります。また、当地は日本同様に左側通行ですが、右折できる道路がほとんどないというのも、渋滞が発生している理由の一つのような気がします。他方、こうした渋滞はある種のビジネスチャンスでもあります。例えば、街中では勝手に交通整理をする人が交差点に立っていたりします。チップを払えば優先的に通してもらえたり、など。これが良いかは別として、たくましいですよね。徒歩5分なんですけどね・・・コラム4交通渋滞60 ファイナンス 2021 Apr.連載海外 ウォッチャー

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