ファイナンス 2021年4月号 No.665
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大きな可能性を秘めていることもまた事実です。インドネシアは2045年にGDPで世界トップ5入りする目標を掲げており、人口の多さや地下資源の豊富さなどを鑑みても、それを達成できる「可能性」は十分なものがあると思っていますし、インドネシアの方々と話していても、彼らは自国の可能性を信じて疑いません。民間企業の方々と話していても同様です。しかし他方で、現在の成長スピードではその実現は非常に難しいこと、また可能性という言葉が通用するのは、もしかしたらそう長くないのかもしない、という点を紹介したいと思います。(1)人口構成冒頭で触れましたが、インドネシアは巨大な人口を持つ国で、それを理由に可能性と呼ぶ人は非常に多いですが、一国の人口を考える際は、その構成や将来性にも目を向ける必要があります。世銀の公表する人口動態を見てみますと、足元は生産年齢人口比率が順調に伸びていますが、2030年以降は減少を始める、すなわち人口ボーナスが終わると予想されています。日本も同様ですが、通常、人口ボーナスが終わるまでに発展を遂げるケースが多いので、インドネシアが中所得国の罠*10に陥ることなく本格的な成長を遂げ、2045年の目標とされる1人あたり20,000ドル*11 *12*10) 一人あたりGDPが8,000~10,000ドルからぬけ出せない状況のこと。*11) https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/10/ff57de02800294c1.html*12) 1ドル=16,000ルピアで計算を実現するためには、今後10年が正念場となります。また、インドネシアが比較的元気だった2010-2019年の一人当たりGDP成長率が続いたとしても、目標とされる一人あたり20,000ドルには届かないところを見ると、トップ5を達成するためには、本格的な構造改革に着手する必要があることがわかります。インドネシアの人口予測20502045204020352030202520202015201020052000199554.0%56.0%58.0%60.0%62.0%64.0%66.0%68.0%0.51.01.52.02.53.00.03.570.0%1990(年)(世界銀行より著者作成)若年人口総人口生産年齢人口比率(右軸)生産年齢人口老齢人口(億人)一人あたりGDPの推移2,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,000020,0002000200520102015202020252030203520402045(年)(世界銀行より著者作成)一人あたりGDP2010‒2019年の平均成長率が続いた場合(ドル)インドネシアの有名な観光地といえば、バリ島。イスラム教徒が大半を占める当地にあって、ヒンドゥー教徒が多いという異色の地です。長い歴史を有することもあり、非常に見どころが多く、活気のある観光地で、2018年夏にはIMF世銀総会が行われました。ヒンドゥー教徒が多いということもあって、豚肉OKなレストランも多く、また酒も普通に飲めます。写真は当地で始めたダイビングの一コマ。バリ島は世界でも有数のダイビング天国。レック(沈船)やドリフトダイビング、マンタも大量に来たりと、アドベンチャー感が満載です。ぜひ一度いらしてください。バリ島の一コマコラム3インドネシア駐在の楽しみ(3) ファイナンス 2021 Apr.59海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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