ファイナンス 2021年4月号 No.665
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1. 令和3年度社会保障関係費の 全体像 令和3年度の社会保障関係費は、いわゆる自然増(※)が4,800億円程度と見込まれる中、2.の毎年薬価改定の実現等の様々な改革努力を積み重ねることにより、令和2年度の社会保障関係費(新型コロナウイルス感染症の影響を受けた医療費動向を踏まえ医療費にかかる国庫負担分を▲2,000億円程度減少させたベース)と比較し、+3,500億円程度となり、社会保障関係費の実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針を着実に達成。※ 医療費動向を踏まえた前年度の土台からの伸び。また、令和3年度の年金額改定率(物価上昇率の推計を基にした予算積算上の値)を±0%と見込んでおり、予算上、消費税率引上げによる物価影響分+0.2%(+200億円程度)を、別途、消費税増収分(公経済負担)で対応するため、上記自然増には、これを控除した物価影響分▲0.2%(▲200億円程度)が反映されている。2.毎年薬価改定の実現毎年薬価改定の初年度である令和3年度薬価改定について、令和2年薬価調査に基づき、以下のとおり実施する。改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点からできる限り広くすることが適当である状況のもと、平均乖離率8%の0.5倍~0.75倍の中間である0.625倍(乖離率5%)を超える、価格乖離の大きな品目を対象とする。また、「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月17日閣議決定)に基づき、新型コロナウイルス感染症による影響を勘案し、令和2年薬価調査の平均乖離率が、同じく改定半年後に実施した平成30年薬価調査の平均乖離率を0.8%上回ったことを考慮し、これを「新型コロナウイルス感染症による影響」と見なした上で、「新型コロナウイルス感染症特例」として薬価の削減幅を0.8%分緩和する。これらにより、薬剤費の削減▲4,315億円(国費▲1,001億円)を実現する。3. 令和3年度介護報酬改定、 障害福祉サービス等報酬改定(介護報酬改定)令和3年度介護報酬改定については、介護職員の人材確保・処遇改善にも配慮しつつ、物価動向による物件費への影響など介護事業者の経営を巡る状況等を踏まえ、改定率は全体で+0.70%(国費196億円)とする。この中で、給付の適正化を行う一方で、感染症等への対応力強化やICT化の促進を行うなどメリハリのある対応を行う。※ 上記+0.70%のうち、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価+0.05%(令和3年9月末まで)(障害福祉サービス等報酬改定)令和3年度障害福祉サービス等報酬改定については、福祉・介護職員の人材確保・処遇改善にも配慮しつ令和3年度 社会保障関係予算のポイント主計局主計官(厚生労働第一担当) 一松 旬主計局主計官(厚生労働第二担当) 坂口 和家男2 ファイナンス 2021 Apr.特 集

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