ファイナンス 2021年4月号 No.665
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1 はじめにはじめまして。平成24年入省の籠島敬幸と申します。このたびは、財務省の広報誌「ファイナンス」に寄稿させていただく機会を与えていただきました。現在、私はインドネシアで日本大使館に勤務しており、2018年の夏からですので、もうすぐ3年を迎えようとしています。インドネシアに対して皆様が持つイメージはどのようなものがあるでしょうか。人口が多い、親日国、世界最大のイスラム国、バリ島、etc..。最近では日本のODAで地下鉄が初開通しました。こうした経済発展の話があるかと思えば、一方で、現職大臣が「新型コロナはイスラムの祈りで予防可能*1」なんてことを大まじめに言ってしまったり、地方では未だに祈祷師が活躍していたりなど、なんだか近代国家なのかそうではないのかよくわからない国です。とはいえ、こうしたカオス的なインドネシアには様々な面白さがあります。今回はそのほんの一部でも紹介できれば、と思っています。 2 インドネシアとはどんな国か(1)概要インドネシアについて簡単に紹介させていただきます。赤道近辺に位置する、約18,000もの島々から成る世界有数の島嶼国家で、国土総面積は約189万平方km(日本の約5倍)と超巨大な国です。東西の距離*1) https://www.asahi.com/articles/ASN2S5RCSN2SUHBI01K.html*2) 日本の東西線のように、一部区間では地上を走ります。は米国の東西両岸とほぼ同じ約5,000kmと書くと、その大きさがイメージつきやすいのではと思います。人口は約2.7億人(2020年国勢調査)。中国、インド、米国に次いで世界第4位であり、その人口の多さをもって「可能性の国」と呼ばれることもあります。人口のうち88.6%がイスラム教を信仰しており、世界最多のイスラム教徒を有する国となっていますが、憲法では信教の自由が保障されていますので、国教をイスラム教と定めているわけではなく、キリスト教、ヒンズー教、仏教などを信仰する国民もいます。また国語はインドネシア語ですが、構成や言葉が比較的英語に似ていることから、インドネシア人の中には英語でコミュニケーション可能な方も多かったりします。(2)日本との関係インドネシアは世界有数の親日国として有名です。これは今から70年ほど前、インドネシアがオランダから独立する際、当地に在留していた旧日本軍兵がその運動に協力した歴史が影響しているようです。この運動に参加した日本人の中には命を落とされた方もいらっしゃり、ジャカルタ市内のカリバタ英雄墓地に今も埋葬されています。昨年10月に菅総理が当地に外遊された際には、同墓地への献花がおこなわれました。また、インドネシアは日本にとって最大のODA供与国です。これまでに5.5兆円を超える額の開発援助をしており、直近ではインドネシア初の地下鉄*2が開通されたことも記憶に新しいです。こうした背景か海外ウォッチャー在インドネシア日本国大使館ニ等書記官 籠島 敬幸FOREIGNWATCHERインドネシア ~悠久の可能性を持つ国54 ファイナンス 2021 Apr.連載海外 ウォッチャー

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