ファイナンス 2021年4月号 No.665
38/94

ルに課される30%の関税率について、発効後20年目に撤廃することとされました。また、清酒に関しても、日本から中国、韓国へ輸出される場合、中国では40%、韓国では15%の関税がそれぞれ課されていますが、それぞれ発効後21年目、15年目に撤廃されることとなりました。焼酎についても、中国では10%、韓国では30%の関税がそれぞれ課されていますが、それぞれ発効後21年目、20年目で撤廃されることとなりました。日本の酒類の主要な輸出相手国である中国、韓国に対し、関税撤廃を確保できたことは、日本産酒類の輸出拡大に寄与するものと考えています。RCEP協定の発効時期については、他国の国内手続にもよるため、現時点で具体的な発効時期を特定することはできませんが、可能な限り早期に発効させることが重要であるとの認識が各国間で共有されており、それぞれ国内手続きが進められています。*5) YouTubeの税関チャンネルに説明会の動画を掲載しています。https://www.customs.go.jp/roo/origin/j-uk_exp.htm3経済連携協定(EPA)利用促進に向けた取組(資料6、7)先述した通り、RCEPの署名を経て、日本の貿易総額に占めるEPA等発効済・署名済の国・地域との貿易額の割合が約8割となり、EPAの利用機会の更なる拡大が見込まれます。こうした中、財務省では、事業者の方々によりEPAを活用いただけるよう、様々な取組みを実施しています。まず、発効前説明会を含む各種説明会の実施です。新しいEPAが発効する前にはその内容について説明会を実施してきており、日英EPAについても、コロナ禍の中、オンライン説明会を実施しました*5。そのほか、事業者等の要望に応じて、個別のセミナー等も実施しています。また、相談窓口の設置による相談対応も行っています。これまで行ってきた輸入に関する相談だけでな(資料3)RCEPの主な内容(ルール分野)物品の貿易内国民待遇義務のほか、非関税措置に関する協議要請への対応義務や輸入許可手続の変更の際の通報義務等を規定。原産地規則本協定に基づく関税の撤廃又は削減の対象となる原産品の認定要件及び証明手続等について規定。他の締約国の原産材料を自国の原産材料とみなすこと(「累積」)ができる旨を規定。第三者証明及び認定輸出者制度を採用し、一定期間以内に生産者・輸出者自己申告も導入する旨を規定。これらに加え、我が国は発効時から輸入者自己申告を導入。税関手続及び貿易円滑化関税法令の予見可能性、一貫性及び透明性のある適用を確保するとともに、事前教示制度や通関手続に数値目標を設定する等、通関の迅速化や税関手続の簡素化に資するルールを規定。衛生植物検疫措置衛生植物検疫措置の適用の透明性の確保及び締約国間の協力の強化について規定。任意規格、強制規格及び適合性評価手続産品の生産方法等に関する要件及びそれらに適合しているかどうかを評価するための手続が貿易の不必要な障害とならないようにするための手続や透明性の確保に係る義務等を規定。貿易上の救済セーフガード措置、ダンピング防止税及び相殺関税等について、透明性の確保や手続等を規定。サービスの貿易サービスの貿易に関する内国民待遇義務、市場アクセス義務、最恵国待遇義務、規制・措置の透明性の確保等を規定。金融サービス、電気通信サービス及び自由職業サービスに関する追加的なルール等も規定。自然人の一時的な移動物品の貿易、サービスの提供又は投資の遂行に従事する自然人の一時的な入国及び滞在の許可及び手続等を行う際のルールを規定。投資内国民待遇義務、最恵国待遇義務及び特定措置の履行要求(技術移転要求やロイヤリティ規制を含む)の禁止(これらの義務に適合しない各締約国の措置は、留保表に記載。)、投資財産に対する公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障を与える義務や、正当な補償等を伴わない収用の禁止等について規定。知的財産著作権及び関連する権利、商標、地理的表示、意匠、特許等を対象に、知的財産権の取得や行使について規定。周知商標や部分意匠の保護、悪意の商標出願の拒絶・取消の権限、職権による輸入差止め手続の確保に関する義務等を規定。電子商取引電子商取引の促進のため、電子的送信に対する関税の不賦課、コンピュータ関連設備の設置要求の禁止、情報の電子的な手段による越境移転(データ・フリーフロー)、電子署名、消費者保護等について規定。競争反競争的行為を禁止するための法令の制定・維持及び執行、企業の所有形態を問わない競争法令の適用、競争当局間の協力の推進等について規定。中小企業・経済協力及び技術協力中小企業の能力向上のための協力や経済協力及び技術協力に関する活動の推進等について規定。政府調達中央政府機関が行う政府調達に関する法令及び手続の透明性の確保等について規定。紛争解決本協定の解釈又は適用に関する締約国間の紛争を解決する際の協議、パネル手続等について規定。34 ファイナンス 2021 Apr.SPOT

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る