ファイナンス 2021年4月号 No.665
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1. 令和3年度予算編成の基本的な 考え方令和3年度の防衛関係予算は、平成30年12月18日の国家安全保障会議及び閣議において決定された「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」(以下「中期防」という。)等に基づき編成を行い、デジタル庁(仮称)等へ振り替える*1 187億円を含め、全体で5兆3,422億円(対前年度比+0.5%)を計上している。このうち、SACO関係経費*2、米軍再編関係経費*3等を除く中期防対象経費については、中期防を踏まえ実質+1.1%の伸びとし、5兆1,235億円を措置している。(図表1:防衛関係予算の推移)中期防対象経費については、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力の強化など、多次元統合防衛力の構築を推進するとともに、原価の精査、仕様の見直し等の装備調達の最適化や、重要度の低下したプロジェクトの見直しを徹底している。また、新規後年度負担については、将来における予算の硬直化を招かないよう伸びを抑制しつつ、2兆5,951億円(対前年度比+1.2%)を計上しており、このうち、中期防対象経費は、中期防で規定された新規契約額の上限(17兆1,700億円程度)を踏まえつつ、防衛力整備の効率化・合理化を徹底し、2兆4,090億*1) 令和3年9月に予定されるデジタル庁(仮称)設置に伴い、防衛省を含む各省の情報システムをデジタル庁(仮称)等へ移管し、定員・現員の振替・拠出及び関連予算の一括計上を行うもの。*2) SACO関係経費とは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告(平成8年12月2日)に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費を指す。*3) 米軍再編関係経費とは、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)及び「平成22年5月28日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成22年5月28日閣議決定)に基づく再編関連措置のうち、地元の負担軽減に資する措置を実施するために必要な経費を指す。*4) 予算額は(4)を除き契約額ベース。なお、初度費(専用治工具費や初度設計費等)は含まない。円(対前年度比+0.2%)を措置している。(図表2:新規後年度負担額の推移)2.令和3年度予算における主要事業令和3年度予算では、防衛力の整備等に必要な事業を着実に推進しているところ、その主な内容は以下の通りである。*4(1) 宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力の獲得・強化領域横断作戦を実現するため、優先的な資源配分や我が国の優れた科学技術の活用により、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を獲得・強化する。ア 宇宙領域における能力強化○ 宇宙空間の安定的利用を確保するための取組・静止衛星軌道上にあるXバンド防衛通信衛星等の周辺を飛しょうするデブリや不明物体の特性を把握するためのSSA衛星(宇宙設置型光学望遠鏡)を整備(175億円)。・米軍及び国内関係機関等と連携した宇宙状況監視を行うための宇宙状況監視(SSA)システムの整備に必要な関連器材を取得(113億円)。令和3年度 防衛関係予算について主計局主計官 渡辺 公徳26 ファイナンス 2021 Apr.特 集

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