ファイナンス 2021年4月号 No.665
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(1) ハザードエリア等での居住を抑制する「土地利用コントロール」や金融インセンティブなどのソフト対策と一体となった防災・減災対策(2) 人口減少を踏まえ、都市機能や居住の集約やマイカー中心から徒歩・公共交通機関中心への転換を促すコンパクト・プラス・ネットワークの推進(3) 民間資金・ノウハウを活用した生産性向上に向けた投資に国費を重点化すべきと考える。○ このため、令和3年度の公共事業関係費については、安定的な確保を行い、その中で、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策やインフラの人口一人当たりの維持更新コストの増加抑制の観点を踏まえつつ、防災・減災、国土強靱化の取組への重点化を実施するほか、人口減少に対応したコンパクト・プラス・ネットワークの推進や生産性向上・成長力強化につながるインフラ整備を進める観点から、メリハリ付けを強化することとした。2.総額の水準令和3年度の公共事業関係費の一般会計予算は、前年度比+26億円(+0.0%)の6兆695億円となっている。また、防災・減災、国土強靱化関連予算についても、前年度比+2,964億円(+8.6%)となっている。《公共事業関係費》(単位:億円)2年度3年度2’→3’増減公共事業関係費60,66960,695+26(+0.0%)※令和2年度予算は「臨時・特別の措置」を除く。(単位:億円)2年度3年度2’→3’増減防災・減災、国土強靱化関連予算34,62737,591+2,964(+8.6%)※令和2年度予算は「臨時・特別の措置」を除く。《国土交通省関係予算》(単位:億円)2年度3年度2’→3’増減国土交通省関係計59,31158,981△330(△0.6%)公共事業関係費52,56752,587+20(+0.0%)非公共予算6,7446,394△350(△5.2%)※本表のほか、委託者の負担に基づいて行う附帯・受託工事費910億円(前年度830億円)がある。※国際観光旅客税の令和3年度税収のうち国交省予算に計上される261億円(前年度511億円)を含む。3.主な施策の概要令和3年度の国土交通省予算では、主に以下のような施策を講じることとしている。※以下、計数は令和2年度当初予算⇒令和3年度予算(1) ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策の推進○様々な自然災害に対する防災・減災機能の強化(ア)防災・安全交付金による「流域治水」の推進7,847億円⇒8,540億円(+693億円、+8.8%)・ 官民連携による「流域治水」を進めるため、地方公共団体の取組みを支援する防災・安全交付金を増額した上で、流域治水関連施策の推進に3,000億円程度を優先的に配分する運用を新たに行う。(イ)市街地浸水対策の強化(個別補助事業の拡充)245億円⇒394億円(+149億円、+61.0%)・ 集中豪雨等による内水氾濫等の被害軽減に向け、地方公共団体や民間事業者への雨水貯留浸透施設の整備補助を拡充。(特定洪水対策等推進事業費補助等)・ 内水浸水に対処する雨水管等の雨水処理施設の整備の加速化のため、雨水に係る下水道の個別補助を増額。(下水道防災事業費補助)(ウ)津波対策緊急事業(個別補助事業の新設)13億円(皆増)・ 大規模地震の発生リスクが高く、津波到達までの時間が短い一定の海岸地域について、海岸堤防の嵩上げ等のハード対策と警戒避難体制の整備等のソフト対策を計画的かつ集中的に実施するための個別補助制度を創設。○土地利用の見直しを通じた災害リスクの軽減(ア)災害ハザードエリアからの都市機能移転の促進700億円⇒700億円(前年同額)・ 令和2年6月の関連法改正により、立地適正化計画の記載事項に、居住誘導区域内の防災対策を定めた「防災指針」を追加。これに伴い、都市構造再編集中支援事業(700億円)において、「防 ファイナンス 2021 Apr.21令和3年度予算特集:3令和3年度 国土交通・公共事業関係予算について 特 集

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