ファイナンス 2021年3月号 No.664
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各地の話題「近助タクシー出発式」の様子5かかりつけ医・在宅医療機能の確保のために高齢化による医療サービスの需要は全国的にさらに増加すると見込まれています。永平寺町においても例外ではなく、厚生労働省が発表した町の平成26年度の「自宅死の割合」は、6.7パーセントと福井県下最低の数値であり、地域包括ケアシステムの充実を図るためには、在宅医療体制の整備が喫緊の課題でした。そこで関係機関と協議を重ねた結果、かかりつけ医・在宅医療機能を確保し、「在宅診療の拠点として地域住民が安心して医療、介護を受けられる体制」を整えるための診療所を設立するという結論に至りました。福井大学医学部附属病院が町内に立地していることから、福井大学と協定を締結し、診療所の建設は町が、管理運営は福井大学が行う指定管理者制度を活用して「永平寺町立在宅訪問診療所」を設立しました。町立診療所の運営をとおして、幅広い診療知識を持ち、多角的な視野で診察を行う総合診療専門医の育成を図ることは、医療ニーズが介護・保健の垣根を超えて多様化している現状に応えることにもつながっています。これからも、地域に根ざした医療従事者の育成に取り組んでいきます。6まとめ永平寺町では、まちづくり・地方創生における行政の役割は、人と人とをつなげる、地域資源とつなげる、事業をつなげる、さまざな「縁」をつなげていくことだと考え、実践しています。さまざまな分野のさまざまな方々が集い、持続的に活躍できる場が、地域全体のまちづくり、地方創生につながります。おかげさまで、永平寺町には日本全国、世界各国から、多くの方々が集うようになってきています。この記事をお読みいただいている皆さま、ぜひ、永平寺町へお越しください。先端技術と伝統文化との共生で地方創生地方創生コンシェルジュ北陸財務局福井財務事務所長 山岸賢一永平寺町といえば、曹洞宗大本山永平寺のイメージが強いかと思いますが、寄稿文にもあるように、全国に先駆けての「自動運転の実用化」や「近助タクシー」というMaaSにも取り組んでいるほか、経済産業省の「IoT推進ラボ」にも選定されるなど、先端技術も活用しながら新しいまちづくりに積極的に取り組んでいます。また、これらの取組みを通じて、住民の利便性向上も図っていることに特徴があります。さらに、日本の伝統文化である、「禅」をコンセプトとした町のブランド戦略や観光振興にも取り組んでおり、「ZEN」を感じさせる町のイメージアップも行っています。このように、先端技術と伝統文化との共生で地方創生に取り組んでいることが永平寺町の強みではないでしょうか。皆さん、コロナ禍が落ち着いたら永平寺町に来て、先端技術と伝統文化との共生を是非体感してください!診療所での診察風景 ファイナンス 2021 Mar.91連載各地の話題

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