ファイナンス 2021年3月号 No.664
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各地の話題地域の資源を活用、 みんなで進める 地方創生永平寺町商工観光課 課長補佐伊藤 聡一1永平寺町の概要永平寺町は、福井県の北部に位置し、西部では県都福井市、坂井市、東部では勝山市に隣接する、人口約19,000人、面積94km2の町です。町の東西方向に中部縦貫自動車道、国道416号、えちぜん鉄道勝山永平寺線が走り、南北方向には、北陸自動車道、国道364号が走る交通要衝の地となっています。永平寺町内には、町名の由来ともなっている、曹洞宗大本山永平寺、老梅山吉峰寺といった禅の修行道場が位置しているほか、福井大学医学部、福井県立大学、各種専門学校といった施設も立地し、町の主要な産業としては、観光業、繊維工業、食料品製造業があげられます。しかしながら、少子高齢化、人口減少が進行する状況は、他の多くの市町村と同様であり、町としても、そういった状況を好転させるため、様々な取り組みを実施してきました。今回は、永平寺町が取り組んできた、または取り組んでいる地方創生の施策の一部を説明させていただきます。2地域金融機関、企業との連携強化永平寺町は、県都福井市に隣接し、北陸自動車道と中部縦貫自動車道の結節点でもある福井北ICがあります。このような利点を活かし、創業起業、企業誘致をスムーズに進めるため、北陸地域連携プラットフォームの取組み、地方創生フォーラムで得られたつながりや知見を基に、町内に支店を有する金融機関3行(福井銀行、福邦銀行、福井信用金庫)の皆さんと情報共有、連携を行う仕組みを整備しました。仕組みの土台となる、町と金融機関との包括的地域連携協定は3行それぞれと締結しましたが、3行のほかに町商工会等も含め、一堂に会して定例的に、打ち合わせを実施しています。打ち合わせは、それぞれの取引先・顧客・会員といった線的な情報ではなく、地域という面的なつながりで情報共有をしています。些細な話題からも、地域経済の動き、創業起業の動向、空き家・空き地の情報をスムーズに共有することができ、成果につながる事例も出てきています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、町内への影響を調査する「永平寺町産業構造実態調査」も連携事業として進行中であり、利子補給をはじめとする事業者支援も連携して実施しています。このように、日頃からの連携は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の迅速な実行にも役立てることができました。また、地元企業との連携事業の好例として、コロナ感染対策での消毒用アルコール製造があげられます。町内3蔵元による消毒用アルコールの製造町内にある3蔵元(黒龍酒造、田邊酒造、吉田酒造)の皆さんとは、町内イベントなどで日頃から連携をし永平寺町 ファイナンス 2021 Mar.89連載各地の話題

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