ファイナンス 2021年3月号 No.664
66/102

はじめに*1コロナ渦により運用が延期されてきたアフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area:AfCFTA)は、2021年1月からの開始が採択され、人口規模12億人、GDP3.4兆ドルの巨大な自由貿易圏が始動する。AfCFTAはアフリカ連合(African Union:AU)が掲げるアジェンダ2063(Agenda 2063)の取組の一つであり、AfCFTAにより、アフリカ域内貿易の活性化、雇用機会の創出、貧困削減、そしてアフリカ大陸の持続可能な経済社会開*1) 本稿執筆時。2021年1月末よりメキシコの在レオン日本総領事館首席領事。発への寄与が期待される。他方、自由貿易圏の開始が決定されつつも、積み残された交渉課題や、アフリカ域内貿易の実体、既存の制度との整合性等の課題も指摘される。本稿は、アフリカ諸国が希求する経済統合へのこれまでの取組とその一つの成果であるAfCFTAを俯瞰し、今般開始されたAfCFTAへの期待、またAfCFTA運用に際しアフリカ諸国が直面する課題を改めて概観することを目的とする(本稿は筆者個人の見解であり、所属先団体の見解、立場とは何ら関係ないものである旨、予め断っておく。)FOREIGN WATCHER海外ウォッチャーアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA) によるアフリカ経済統合への展望と課題アフリカ連合日本政府代表部一等書記官*1 塚本 剛志エチオピアの首都アディスアベバに所在するAU本部。中央は、AU総会などが開催されるネルソン・マンデラ・ホール、右奥は地上18階のAU委員会オフィス(筆者撮影)。62 ファイナンス 2021 Mar.連載海外 ウォッチャー

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る