ファイナンス 2021年3月号 No.664
45/102

を英国が活用できる仕組みを設定しました*6。なお、鉱工業品は100%の関税撤廃となっています。【日英EPA:酒類、たばこ、塩の合意概要】(資料7)財務省所管物資については先述した通り、基本的に日EU・EPAと同内容を維持していますが、日EU・EPAと一つ異なる点として、英国における日本産酒類に係る非関税措置のさらなる緩和を確保しました。日本から輸出するときの非関税措置のひとつに、EU*6) 例えば、チーズは現在2万トン程度の枠があり、日EU・EPAで3月末に利用残が発生した場合、その残った分に関しては英国が枠内の安い税率で輸入できるという制度。における容器容量規制といって、EUの市場に流通する酒類については、○○mlといった規定の容量のボトルでなければならないという規制があります。日本は「合」や「升」を基準として、180mlや1.8lというヨーロッパにはない単位のボトルで作られているものが多いところですが、例えば720mlの四合瓶そのままでは、規制によりEU市場で流通させることはできませんでした。日EU・EPAにおいては単式蒸留焼酎(焼酎乙類)について、四合瓶と一升瓶はそのまま(資料6)キャッチアップについて経過年数税率012%[基準税率]8%6%4%2%[日EU・EPA2回目]日英EPA1回目[日EU・EPA3回目]基準税率12%、5年(6回の段階的引下げ)で関税撤廃の例日EU・EPA発効10%[日EU・EPA1回目の関税引下げ]日英EPA発効日英EPA2回目[日EU・EPA4回目]日英EPA3回目[日EU・EPA5回目]日英EPA4回目[日EU・EPA6回目]関税撤廃・削減のスケジュールを日EU・EPAに合わせることEPAにおける関税引下げの方法には、関税を発効と同時に撤廃する方法(即時撤廃)のほかに、数年かけて撤廃する方法もあります。例えば、税率12%のものを5年かけて撤廃しようという場合(B5と呼びます)、発効当初に1回目の削減があり、1年経過するごとに徐々に削減をして、丸5年たったときに税率がゼロになります。撤廃までの期間は物品によって異なりますが、このように関税率が徐々に下がっていく方法があります。2021年1月時点で、日EU・EPAでは3段階削減されたところの関税率が適用されているところ、新たに日英EPAが発効した際に、また当初の税率からのスタートとすると税率が12%に上がってしまうことになり、ビジネスの継続性が確保できません。このため、日英EPAにおいては、日EU・EPAで削減されてきたところと同じ税率に合わせる「キャッチアップ」を適用することとしました。コラム2:キャッチアップについて(資料6) ファイナンス 2021 Mar.41日英EPAとRCEP協定の概要について SPOT

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る