ファイナンス 2021年3月号 No.664
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同時にEUと英国との関係についても、英国のEU離脱により、英国はEUとの間でも貿易協定を結ぶ必要に迫られました。したがって、昨年末の移行期間までに日英EPAのみならず英EU協定もまとめなければならないというのが英国の置かれた状況でした。英EU交渉に関しては広く報道もされていましたが、非常に難航し、年末ギリギリまで交渉が続きましたが、無事年内にまとまりました。(写真)日英EPA署名式(2020年10月23日)(外務省ホームページより)【日英EPAの意義】先述の通り、英国のEU離脱に伴い、日EU・EPAに代わる新たな貿易投資の枠組みが必要で、日系企業のビジネスの継続性を確保できたという点で、日英EPAは大きな意味があります。現在、英国には日系企業約1000社が進出し、英国現地で日系企業が18万人の雇用を創出しています。また、EUの中で正式に英語を公用語としている英国は、日本から見てEUへのゲートウェーとしても重要な国であり、こういった点からも、日英EPAは非常に大きな意味を持つと言えます。【日英EPAの全体像】(資料4)日英EPAの協定全体を俯瞰すると、第1章から24章まであり、資料4において白くなっている章が財務省が特に関与した章です。基本的には日EU・EPAとほぼ同じ構成となっていますが、一つ大きな違いとして、第21章に「貿易及び女性の経済的エンパワーメント」という日EU・EPAにはない章が新たに規定されています。(資料3)英国のEU離脱及び日英EPA一般税率の適用日英EPA特恵税率の適用2020年1月31日英国がEUを離脱期限:12月31日(木)2021年1月1日(金)~移行期間※離脱後の経済・社会の激変を緩和するためのもの。英国にEU法を適用し、英国をEU構成国として扱う。期間中、日英間には日EU・EPAが適用される。英国は、同期間終了後に向けた貿易協定交渉が可能。英へのEU法適用終了日英EPA交渉発効未発効(日英間の輸出入にかかる関税上の取扱い)大筋合意:9月11日(金)署名:10月23日(金)交渉開始:6月EU日本英国日EU・EPA(2019年2月発効済)日英EPA英EU間の将来関係協定(2021年1月暫定発効)38 ファイナンス 2021 Mar.SPOT

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