ファイナンス 2021年3月号 No.664
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の未利用国有地が再開発事業に取り込まれた結果、国が再開発建物の一部(いわゆる権利床)を取得するケースが出てきている。財務省(財務大臣)は国有財産の総括大臣として、庁舎の入居官署に係る調整を行っており、入居官署の調整に際しては、権利床の活用や、テレワークの進展などの新しい働き方等も踏まえた庁舎の執務スペースのあり方といった点も、今後考えていかなければならないだろう。4地域社会に貢献する財務局の魅力○ 地域連携の取組み事例「国有行政は現場(財務局の管財業務)で成り立っている」というのは我々共通の認識である。どんなに素晴らしい政策であっても、現場に落とし込んだ時にワークしなければ無意味である。一方、財務局の現場では、これまでも、国有地の定期借地制度を活用した介護・保育施設の整備や、国の官署と地方自治体の庁舎との合築に代表されるエリアマネジメントなどを通じて、地域との繋がりを深めているが、その中でも、「国有財産行政の新たな展開」という本稿のテーマに関連した、面白い取組をいくつか紹介したい。(1) 国庫帰属財産の円滑な引継ぎに向けた取組み(四国、東海、東京など)先述の国庫帰属財産の増加が見込まれる中、財産の円滑な引継を行うために、四国財務局では家庭裁判所や弁護士会などの士業団体と連絡会を設置し、引継ぎ上の問題点等について協議を行っているほか、東海財務局では事務手引きを整備し弁護士会へ説明を行う等の取組を行っている(図6)。また、近年、独居老人の孤独死が大きな社会問題となっており、孤独死が起こった場合に賃貸物件オーナーが被るリスクをカバーする孤独死保険なる少額短期保険も登場している。関東財務局東京事務所では、地域連携の一環として、(一社)日本少額短期保険協会や自治体等と連携して独居老人・孤独死対策に取り組んでいる中、孤独死をきっかけとして相続人不存在で不動産を国庫帰属させるケースが生じた場合に、家庭裁判所や各種士業などと連携してサポートできるよう、取組の準備を進めているところである。図6 愛知県弁護士会への説明(東海財務局)(2) 新型コロナウイルス対策に係る国有財産の活用(四国、中国)先述のとおり、国有財産法上、災害時の応急措置の用に供する目的で国有財産を無償提供できることとなっているが、今般の新型コロナウイルス感染症への対応についても災害時の応急措置として国有財産の無償提供を行っている。直近では、四国財務局で国有地をPCR検査場として地方自治体に無償提供したほか、中国財務局でも広島市に無償貸付中の公園(中央公園(広島市民球場跡地))にて、広島県によるウォークイン方式/ドライブスルー方式でのPCR検査が実施された(図7)。リノベーションの事例①合同宿舎(伊川谷合同宿舎(兵庫県神戸市))その2浴室室内(洋室化)<改修内容>・フローリング新設・天井・壁クロス化・コンセント取替・各建具、建付調整等<改修内容>・高効率給湯器取替・床、シート貼・換気扇新設・衣類乾燥、暖房機能付き浴槽取替・浴室出入口扉取替・天井塗装等図5 伊川谷合同宿舎における大規模リノベーションリノベーションの事例①合同宿舎(伊川谷合同宿舎(兵庫県神戸市))その1<宿舎概要>兵庫県神戸市に所在する合同宿舎・棟数:5階建て3棟(~号棟)・戸数:戸・住戸面積:㎡・築年数:年(昭和年築、・号棟)、年(昭和年築、号棟)台所<改修内容>・流し台、吊戸棚取替・壁・天井クロス貼替え・モニター付きインターフォン新設・フローリング張替・コンセント取替等洗面所<改修内容>・洗面台取替(幅広化)・床、シート張替・洗濯機パン取替・壁クロス張替等 ファイナンス 2021 Mar.33国有財産行政の新たな展開SPOT

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