ファイナンス 2021年3月号 No.664
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また、法務省(法制審議会民法・不動産登記法部会)において、(1)所有者不明土地の発生抑制、(2)土地の将来の管理不全化防止の観点から、相続を契機として取得した土地の所有権を国庫に帰属させる制度についての検討が行われており、財務省としても、国有財産行政を所管する立場として当初より議論に参画しているところであるが、令和3年2月の法制審議会(総会)において、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」が議決され、法務大臣に答申された。その後、同年3月5日、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」が閣議決定されており、今通常国会において法案(新法)が提出されている。引き取り手のない不動産については、財務局職員は課題解決に向けて地域社会から期待を寄せられており、「不動産のプロ」としての腕の見せ所と言えよう。○ 宿舎・庁舎行政の課題への対応翻って、宿舎・庁舎行政についてはどうか。宿舎については、都市部を中心に、若年層向けなど(独身者・単身者用)の宿舎不足の解消や、老朽化対策が課題である。新築が抑制されている中、難しい課題ではあるが、建築費を抑制しつつ老朽化等に対応する手段として、最近、URなど民間でも古い団地を大規模リノベーションする手法が取り入れられており、参考となる。近畿財務局では兵庫県神戸市の伊川谷合同宿舎で大規模リノベーションを行っており、公務員住宅における先駆的事例となっている(図5)。庁舎については、霞が関地区における庁舎不足、執務スペースの狭隘化が課題となっている一方、宿舎跡地等経済対策における国有財産の活用②ポストコロナの経済構造への転換庁舎屋上を活用した基地局整備のイメージ庁舎・宿舎等のリスト*を民間事業者に公表(*)緯度・経度情報や建物の高さ情報等も提供。1.デジタル社会の基盤となる5Gの基地局整備加速〇5Gは、周波数の特性上、各基地局がカバーできるエリアが小さいことなどから、その全国展開には可能な限り多くの基地局が必要(2024年4月までに約28万局を目標)。➡事業者による基地局整備を後押しするため、庁舎・宿舎等を基地局の設置場所として提供。2.地方都市等における新しい働き方の支援〇地方都市等におけるテレワーク環境の整備を推進し新しい働き方を支援。➡全国各地に所在する庁舎等を民間事業者によるサテライトオフィスの設置場所として提供。全国の財務局各地の庁舎にサテライトオフィスを設置①設置相談事業者5G基地局相談窓口各省各庁「5G基地局相談窓口」を全国の財務局に設置③物件情報現地調査の実施使用許可等手続き②物件情報(財務省所管財産)担当省庁の連絡先(他省庁所管財産)図4 世界平和大観音像(高さ約100メートル)壁が崩落しており危険32 ファイナンス 2021 Mar.SPOT

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