ファイナンス 2021年3月号 No.664
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地方都市等における新しい働き方の支援コロナ禍でのテレワークの普及により、最近、駅構内やオフィスビルの空きスペースを中心にボックス型のサテライトオフィスの設置が増えている。事業者も今後、公共スペースへの設置を増やしていきたい意向であり、我々としても、地方都市等における新しい働き方を支援する立場から、各地の庁舎等のロビーなど一般の方々が出入り可能な場所の空きスペースをサテライトオフィスの設置場所として提供することで、テレワーク環境の整備を支援することを考えている。以上の経済対策については、着実に実行に移すべく、目下、本省・財務局一体となって鋭意取り組んでいるところである。例えば、テレワーク環境の整備については、現在、財務局だけでなく、国税庁(東京国税局)などの協力も得て、庁舎のロビーやエントランス等の空きスペースにサテライトオフィスを設置すべく、事業者と事務的な調整を行っており、事業者の公募・選定を経て、この春にも第一号案件が出る見込みである。3社会経済情勢を踏まえた今後の取組み○ 引き取り手のない不動産への対応冒頭でも触れたが、引き取り手のない不動産(負動産)の問題は深刻である。この点、相続人不存在による財産の国庫帰属(民法第959条)に関連して、兵庫県淡路島に所在する通称「世界平和大観音像(高さ約100メートル)」(図4)の事例について紹介したい。観光施設として建設され長年放置された状態となっている同観音像はワイドショーや新聞報道で話題になったが、昨年4月の国庫帰属に当たっては近畿財務局が大きな役割を果たしていることはあまり知られていない。本観音像は倒壊の危険があるため、地域住民の安全確保のため解体が必要であり、近畿財務局はプロジェクトチーム(工事PT)を立ち上げ、特殊工事に係る専門的知見を結集して取り組んでいるところである。なお、解体費用は総額約14億円と見込まれている。この他、中国財務局において解散宗教法人の財産に係る国庫帰属の手続が進められている。図3 経済対策における国有財産の活用「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和2年12月8日閣議決定)経済対策における国有財産の活用①2.地方自治体における災害発生前の対応に係る支援〇台風等による災害の激甚化に伴って、地方自治体において発災前に避難場所や廃棄物仮置き場等を確保しておくニーズが顕在化。➡発災前においても国有財産の無償提供が可能である旨明確化した上で、活用できる国有地を地方自治体に提示して、災害対応を支援。国土強靭化など安全・安心の確保1.遊水地・貯留施設の整備加速〇激甚化する水災害への対応を強化するため、まずは全国50箇所を目標に、国有地を活用した遊水地・貯留施設の整備を推進。➡国有地のリストを全国的に提供するとともに、浸水被害防止が困難な河川(特定都市河川)の流域において地方自治体が整備を行う場合に、貸付料の減免を可能とするよう制度を見直し。:特定都市河川(現行8河川。今後、対象河川を拡大し、追加の見込み。)財務省・財務局地方公共団体・地方整備局整備【平常時】【出水時】貯留施設の例(横浜市緑区)※無償提供可能な未利用国有地の面積(財務省所管分)約500ha(平成28年熊本地震時の廃棄物等の仮置き場の約6倍)鶴見川●横浜市境川引地川神奈川県東京都●千葉市千葉県熊本地震の際の廃棄物仮置き場(出典:環境省HP『災害廃棄物対策フォトチャンネル』)国有地の提供 ファイナンス 2021 Mar.31国有財産行政の新たな展開SPOT

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