ファイナンス 2021年3月号 No.664
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本答申については、ファイナンス2019年8月号の嶋田俊之著「今後の国有財産行政の方向性」において詳細な解説がなされているので是非参照されたい。答申の全体像については、以下(図2)のとおりであり、中心地に所在する国有地など有用性が高く希少な土地を「留保財産」として国が所有権を留保した上で、定期借地権による貸付対象を拡大するなど、国有財産の「処分」から、多様化した地域社会のニーズに応える「活用」への流れを更に押し進める内容となっている。図1 未利用国有地のストックの推移(財務省一般会計)04未利用国有地のストックの推移(財務省一般会計)○未利用国有地については、国として保有する必要のないものは売却し、財政収入の確保に努めつつ、地域・社会のニーズに対応した有効活用を推進しており、令和元年度末の未利用国有地のストックは3,366億円となっています。○このうち、地方公共団体等が公共施設等の用地として利用する予定の財産は1,740億円、一般競争入札により処分する予定の財産は568億円となっています。なお、このほか土地区画整理事業や再開発事業の施行区域に所在するもの、境界確定、地下埋設物調査等が必要といった特殊事情を有する財産が1,057億円ありますが、これまでの財産処分で培ったノウハウ・知見を活用し、要件が整った財産から売払等処理を進めていきます。②国有財産の価格・面積699 6866731,8482,3532,0551,5691,5101,3341,4841,6692,4732,4962,3613,2313,2651,4861,3231,4221,3001,05714,35411,37011,6118,8165,0582,6811,2721,1041,3201,5211,1719299971,1828787551,3641,1436106495683,055 2,4262,0541,9121,7451,5871,1921,0079991,0329481,2881,3071,3241,3471,5931,7071,7671,5931,3391,74018,10814,48414,33812,5789,1576,3244,0343,6223,6554,0383,7894,6904,8004,8685,4575,6134,5584,2343,6263,2883,36614,901 15,64215,85915,15710,9967,6685,7074,8304,4034,1053,8163,5403,6283,4023,1863,2843,8733,4633,1252,9642,92202,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00002,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00020,000H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27H28H29H30R元(件)台帳価格(億円)地方公共団体等での利用が予定されている財産一般競争入札により処分する予定の財産土地区画整理事業等の施行区域内に所在、境界確定等が必要といった特殊事情を有する財産年度末ストック件数図2 答申「今後の国有財産行政の管理処分のあり方について」の主な内容(1)国有財産の更なる有効活用○留保財産の選定有用性が高く希少な土地は国が所有権を留保し(留保財産)、定期借地権による貸付で活用。○定期借地権による貸付の対象の拡大公的施設と民間施設の複合施設等への貸付も可能とする。(2)引き取り手のない不動産の発生の抑制に向けた対応○一定の条件を満たす不動産の寄附受け○相続人不存在の場合における清算後の残余財産の国庫帰属一定の要件の下で国が死因贈与契約等により不動産を受ける仕組みの創設。○管理コスト削減の方策売却困難な財産について貸付・管理委託を行いコスト低減に取り組む。(3)庁舎○地方都市における既存庁舎の徹底した活用(地方公共団体との情報共有等)○権利床の庁舎としての活用庁舎不足の地域において、再開発建物の一部(権利床)の取得が見込まれる場合には当該権利床を庁舎として活用。(4)国家公務員宿舎○地域ごとの宿舎需給のミスマッチ解消○住戸規格のミスマッチ(独身・単身用宿舎の不足)解消○老朽化への対応平成30年6月11日答申「今後の国有財産の管理処分のあり方について」の概要 ファイナンス 2021 Mar.29国有財産行政の新たな展開SPOT

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