ファイナンス 2021年3月号 No.664
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「地方一般財源総額実質同水準ルール」を令和3年度(2021年度)まで維持することとしている。また、「令和3年度予算編成の基本方針」(令和2年12月8日閣議決定)においては、「新経済・財政再生計画」に沿った予算編成を行い、「地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める」とされた。これに先立って取りまとめられた財政制度等審議会の「令和3年度予算の編成等に関する建議」においては、「国と地方を合わせた全体の歳出と歳入の巨額のアンバランスから目をそらしてはならず、国と地方が歩調を合わせて財政健全化を進めていく必要がある。」とされている。令和3年度の地方財政対策は、こうした方針・提言に沿って策定されたものである。(2)令和3年度地方財政対策のポイント令和3年度の地方財政対策においては、交付団体をはじめとする地方公共団体が地域社会のデジタル化や防災・減災、国土強靱化等に取り組みながら、安定的な財政運営を行うことができるよう、一般財源総額について、前年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として地方財政対策を講ずることとした。その結果、地方公共団体に交付される地方交付税交付金(出口ベース)は17.4兆円(対前年度+0.9兆円)、地方の一般財源総額は前年度と実質的に同水準*4) 水準超経費(1兆1,500億円)及び令和2年度徴収猶予の特例分(2,145億円)を除いている。の62.0兆円*4(対前年度+0.2兆円)としつつ、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用した「地域デジタル社会推進費」を新たに計上するとともに、防災・減災、国土強靱化対策として「緊急自然災害防止対策事業費」を延長・増額するなど、現下の課題にも適切に対応するものとなった。3. 令和3年度地方財政対策(通常収支分)について(1)地方の歳出の見込みA)一般行政経費令和3年度の地方の一般行政経費については、補助事業として22兆9,416億円(対前年度+2,290億円)、地方単独事業として14兆8,296億円(対前年度+786億円)が計上されている。デジタル化によるメリットを享受できる地域社会のデジタル化を集中的に推進するため、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用して、令和3年度及び令和4年度限りの措置として新たに「地域デジタル社会推進費」を2,000億円計上することとした。地方創生のための「まち・ひと・しごと創生事業費」については、地方公共団体が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、前年度同【資料:令和3年度地方財政対策のポイント(概要)】1.地方財政の姿・地方交付税交付金等(入口ベース:一般会計の歳出)は15.9兆円(+0.1兆円)。・地方財政計画上の地方交付税交付金(出口ベース:地方団体に交付される金額)は17.4兆円(+0.9兆円)。・国と地方が折半で負担する財源不足は3.4兆円(皆増)。2.地方一般財源総額の確保・一般財源総額(水準超経費※1を除く)※2:62.0兆円(+0.2兆円)⇒ 前年度と実質的に同水準を確保3.地方歳出の主なポイント(1)地域デジタル社会推進費の計上(令和3年度及び令和4年度限り)・地域社会全体のデジタル化を進めるため、地方団体がデジタル化に2年間で集中的に取組む経費について、 「地域デジタル社会推進費」として計上(0.2兆円)。(2)国と歩調を合わせた防災・減災、国土強靱化対策の推進・災害の発生予防・拡大防止のため、「緊急自然災害防止対策事業費」を延長(5年間)・拡充(0.3兆円→0.4兆円)。※1 不交付団体の超過財源見合いの歳出。※2 令和3年度・令和4年度限りの地域デジタル社会推進費の財源を含む。 ファイナンス 2021 Mar.17令和3年度予算特集:2令和3年度 地方財政対策について特 集

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