ファイナンス 2021年3月号 No.664
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1.はじめに(1)地方交付税交付金制度の仕組み地方交付税交付金は、地方交付税法において、国税収入額の一定割合(令和3年度は所得税及び法人税の収入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の19.5%)並びに地方法人税の税収額を充てる旨が規定されている*1。しかし、実際に地方公共団体に交付される地方交付税総額の原資として、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)へ繰り入れられる地方交付税(入口ベース)は、この国税収入の一定割合であるいわゆる法定率分に、・過去の地方財政対策における国と地方の貸し借りなどに起因して、地方交付税法附則等によって後年度に加算することが定められている額の加算(法定加算等)及び過年度の精算による加減算・地方財政全体の収支見通しにおいて、地方歳出の総額と、地方税、地方交付税の法定率分及び法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方歳入の合計額との間に生じた乖離(地方の財源不足)を国・地方が折半して補塡する(「国と地方の折半ルール」)ための加算(特例加算)を行ったうえで決定される。(2)地方一般財源総額実質同水準ルール地方財政計画においては、平成23年度以降、地方の歳出水準について国の一般歳出の取組と基調を合わ*1) 地方交付税法第6条第1項。*2) 地方税、地方譲与税、地方特例交付金等、地方交付税交付金、臨時財政対策債の合計。*3) 不交付団体の基準財政収入が基準財政需要を超過する額の見込み。不交付団体の税収増に伴い、交付団体の財源(地方交付税交付金)が減少しないよう、地方財政計画の歳出に計上されている。せつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源*2の総額について、前年度を下回らないよう実質的に同水準を確保することとされてきた(「地方一般財源総額実質同水準ルール」)。この「地方一般財源総額実質同水準ルール」の下、地方財政計画における一般財源総額は、不交付団体の水準超経費*3や消費税率の引上げに伴う社会保障の充実に相当する分などを除き、平成23年度以降、同水準で維持されてきている。このルールの下、歳出の伸びを抑制する中で、国や地方の税収の回復に伴い、地方財政計画における歳出歳入ギャップが縮小し、臨時財政対策債の発行も減少してきた。一方、令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国税・地方税の減収が見込まれる厳しい財政状況のもと、国・地方で折半して負担する財源不足が平成30年度以来3年ぶりに生じることが見込まれ、臨時財政対策債の増発はやむを得ない中で地方財政対策に臨むこととなった。2. 令和3年度地方財政対策の概要について(1)「新経済・財政再生計画」等の方針政府は平成30年6月15日に「新経済・財政再生計画」を含む「経済財政運営と改革の基本方針2018」を閣議決定し、令和7年度(2025年度)の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指す旨を掲げた。この財政健全化目標の実現に向けて、前述した令和3年度 地方財政対策について主計局主計官 関 禎一郎 ファイナンス 2021 Mar.15令和3年度予算特集:2特 集

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