ファイナンス 2021年3月号 No.664
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と一体となった経済の強靱化のためのサイバーセキュリティ対策に重点的な予算措置を行っており、一般会計の科学技術振興費で1,090億円〔▲43億円〕を計上している。(なお、令和2年度当初予算の特殊要因である「独法等の監視に係る次期システム構築事業」(54億円)が剥落。)具体的には、IoTの社会実装に向けた次世代人工知能等の基盤技術の開発を実施するため58億円〔+8億円〕を計上するほか、新型コロナを受けた社会変容への迅速な対応のため、新しいITインフラに合わせた次世代ソフトウェアプラットフォームの標準化に資するITサービス開発の実証への支援として1億円〔新規〕を計上している。3 中小企業対策中小企業対策費は、経済産業省予算のほか、財務省予算及び厚生労働省予算に計上されており、景気の悪化による中小企業等の信用リスクの上昇等のための資金繰り支援に要する経費の増〔+7億円〕等を反映して、一般会計全体では1,745億円〔+22億円〕を計上している。令和3年度予算においては、中小企業の生産性向上を促進するための設備投資や事業再生・事業承継、資金繰り対策等に必要な予算を計上している。具体的には、中小企業が産学官連携により行う研究開発等を支援する戦略的基盤技術高度化・連携支援事業109億円〔▲22億円〕、複数の中小企業が連携して生産性向上を図るものづくり・商業・サービス高度連携促進事業10億円〔+0億円〕、事業引継ぎ時の士業等の専門家の活用費用等を補助する事業承継・世代交代集中支援事業16億円〔新規〕、再生支援や事業承継支援のためのワンストップ窓口の整備等を行う中小企業再生支援・事業承継総合支援事業95億円〔+20億円〕を計上している。資金繰り対策については、(株)日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会の債務保証等を円滑に行うため271億円〔▲8億円〕(別途財務省分616億円〔+15億円〕)を計上している。また、財政制度等審議会等の指摘を踏まえ、中小企業であっても、大企業の子会社や課税所得が一定以上のものについては、補助の対象外又は大企業と同率の補助率の適用とすることにより支援を重点化するとともに、事業のアウトカムの見直し、波及効果の高い取組への重点化、効果検証の実施を行うなど、執行も含めて予算の重点化・効率化を推進している。4 国際展開支援令和3年度予算においては、企業の国際展開の支援として、中堅・中小企業等の海外展開支援や対内直接投資の促進、グローバルベンチャーの創出支援等に必要な予算を計上している。具体的には、中堅・中小企業の海外展開支援や対内直接投資を促進するため、(独)日本貿易振興機構(JETRO)への運営費交付金として253億円〔▲1億円〕等を計上している。また、大阪・関西万博の開催準備等のため、29億円〔▲5億円〕を計上している。5 エネルギー対策特別会計エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある。(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)令和3年度予算においては、予算の重点化・効率化を進めつつ、省エネ・再エネの導入の着実な推進、再エネの主力電源化に向けて洋上風力の導入拡大や革新型蓄電池・燃料電池などの研究開発を推進するとともに、カーボンリサイクル技術のイノベーションを加速することとしている。ア.エネルギー需給構造高度化対策〈省エネルギー関連予算〉省エネルギー関連予算としては、省エネルギー技術の研究開発や省エネ設備投資・クリーンエネルギー自動車の購入等を支援しており、規制的手法との組み合わせ等により効果的・効率的に省エネルギー政策を推進することとしている。また、野心的な二酸化炭素の排出削減に取り組む企業に対する成果連動型の低利融資制度の創設など金融手法を活用した支援も新たに実施することとしている。具体的には、先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金については、産業・業務部門における省エネ10 ファイナンス 2021 Mar.特 集

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