ファイナンス 2021年3月号 No.664
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したことから、対2年度7,579億円減の5,204億円を計上している。また、執行段階においても、復興庁が各省庁へ事業の実施に関する計画等を通知し、予算の配分を行っている。4.外交関係予算(1)ODA予算ア.ODA予算の位置付けと3年度予算の特徴我が国のODA予算は、経済成長及び経常収支黒字の拡大を背景に、1970年代末から1990年代後半にかけて大幅に増加した後、財政構造改革に伴い量から質への転換を果たした。近年はおおむね横ばいとなっており、「自由で開かれたアジア太平洋」の実現等に向け活用されている。3年度における一般会計ODA予算は、新型コロナウイルス感染症の国際的な収束に向けた保健分野のODAの拡充等により、前年度より増加となる5,680億円(2年度5,610億円)を計上している。イ.外務省ODA予算ODA予算の大部分を占める外務省ODA予算は、主に、無償資金協力、技術協力及び国際機関等への拠出から構成される。[無償資金協力・技術協力]無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組への支援、経済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助にかかる緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。また、技術協力は、途上国の人づくりや制度の構築に貢献するため、日本の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として、専門家派遣や研修員の受入れ等を行うものである。*6) 国際機関等への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。*7) 任意拠出金については、27年度予算要求以降、外務省において国際機関別に評価を行ってきたが、3年度予算要求に際しては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けた各機関の状況を踏まえ、実施していない。3年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2月10日閣議決定)を踏まえつつ、(1)「自由で開かれたインド太平洋」の具体化、(2)グローバルな課題への対処、(3)日本経済を後押しする外交努力等に必要な経費として、無償資金協力については1,632億円(2年度1,632億円)、技術協力(独立行政法人国際協力機構)については1,517億円(2年度1,516億円)を計上している。[国際機関等への拠出*6]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。3年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,032億円(2年度1,034億円)、任意拠出金として336億円(2年度339億円)を計上している。任意拠出金については、(1)国際機関等の活動の成果・影響力、(2)日本の外交政策上の有用性・重要性、(3)組織・財政マネジメント、(4)日本人職員・ポストの状況等を踏まえつつ、保健分野への拠出に重点化するなど、メリハリを付けた予算を計上している*7。(2)外務省予算の柱外交政策を力強く実施し、国益を確保していくため、以下を柱として予算を計上している。ア.新型コロナウイルス感染症への対応718億円(2年度628億円)[新型コロナウイルス感染症の克服]国際機関への拠出を通じたワクチン等の供給支援、途上国への保健・医療体制支援を通じた感染拡大防止及び在留邦人保護の強化等のための経費を計上している。[ポスト・コロナに向けた取組]保健システムの脆弱な途上国に対する支援、保健・衛生分野での国際的なルール作り及びインバウンド再開に向けた取組等のための経費を計上している。6 ファイナンス 2021 Mar.特 集

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