ファイナンス 2021年2月号 No.663
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システム予算の一括計上を進めて3,000億円規模の予算を措置することで、政府全体の情報システムの一元的な管理を行う。このほか、市町村の体制整備への支援を通じマイナンバーカードの取得を促進するとともに、運転免許証とマイナンバーカードの一体化を推進する。また、グリーン社会の実現に向け、野心的な二酸化炭素の排出削減に取り組む企業に対する成果連動型の低利融資制度の創設(今後3年間で1兆円の融資規模)やESG投資の呼込み支援を実施するとともに、再エネ・省エネ等の研究開発・導入を支援する。ウ.活力ある地方創り地域活性化の自主的・先導的な取組を支援する「地方創生推進交付金(1,000億円)」における移住支援事業を拡充する。企業・自治体のマッチング支援を行う「地方創生テレワーク推進事業(1.2億円)」等により、地方へ人や仕事の流れを拡大する。また、「インバウンド消費2030年15兆円目標」の達成に向け、国際観光旅客税収(300億円)の活用により、自然・文化を生かした高付加価値なコンテンツの創出や、ホテル・旅館のサービス向上を加速する。顔認証での決済の活用等の「観光DX」やワーケーションを推進する。エ.少子化対策など全世代型社会保障制度の構築新型コロナウイルス感染症への対応を引き続き推進するとともに、足下の医療費の動向も反映しつつ「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)で示された「新経済・財政再生計画」に基づき歳出改革を継続している。職員の処遇改善にも配慮した、介護報酬改定(+0.70%・+196億円)、障害福祉サービス等報酬改定(+0.56%・+86億円)の実施に必要な経費を確保しつつ、毎年薬価改定の実現により実勢価格の下落を反映して国民負担を軽減(▲1,001億円)している。また、後期高齢者医療の自己負担割合の見直しなどの制度改革と併せて、子育て世代等の希望の実現に向けた少子化対策を推進する(「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿の整備(602億円)、不育症の検査・がん治療に伴う不妊に係る支援(23億円)等)。なお、令和2年度第3次補正予算においても、不妊治療費用の助成について大幅に拡充している。オ.歳出改革の取組の継続「新経済・財政計画」に沿って、社会保障関係費について実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるとの方針を達成している。非社会保障関係費についても、同計画に沿って、全般的な見直しを行うことで、一般歳出についての「目安」を達成している。・社会保障関係費+1,507億円(医療費動向を踏まえた前年度の土台からの実質的な伸びは+3,500億円程度)・非社会保障関係費+330億円(これまでの取組の継続)(2)令和3年度予算のフレーム令和3年度予算の一般歳出は66兆9,020億円であり、これに地方交付税交付金等15兆9,489億円及び国債費23兆7,588億円を加えた一般会計総額は、106兆6,097億円となっている。歳入については、租税等の収入は57兆4,480億円、その他収入は5兆5,647億円を見込み、公債金は43兆5,970億円となっている。(3)主要な経費の概要社会保障関係費については、職員の処遇改善にも配慮した介護報酬改定・障害福祉サービス等報酬改定の実施に必要な経費を確保しつつ、毎年薬価改定の実現等、様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、「新経済・財政再生計画」に沿って、実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針を達成している。これらの結果、35兆8,421億円を計上している。文教及び科学振興費については、小学校35人以下学級の実施に向けて必要な教職員定数の措置及び合理化等を図るほか、大学改革、安全・安心な学校の施設整備等を推進するとともに、科学技術基盤を充実し、イノベーションを促進することとしている。これらの結果、5兆3,969億円を計上している。地方財政については、国税及び地方税の税収の落ち込みに対し、地方の一般財源総額を適切に確保し、地方に最大限配慮することとしている。これらの結果、地方交付税交付金等について、15兆9,489億円を計上している。 ファイナンス 2021 Feb.5令和3年度予算特集:1令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算について 特 集

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