ファイナンス 2021年2月号 No.663
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過去の「シリーズ日本経済を考える」については、財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。http://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html第6回Tokyo Fiscal Forum―Towards Strong Economic Recovery and Sound Public Finances in Asia―シリーズ日本経済を考える1092020年12月4日、財務総合政策研究所は、IMF財政局及びADBIとの共催により、「第6 回Tokyo Fiscal Forum ―Towards Strong Economic Recovery and Sound Public Finances in Asia―」と題した国際会議を、Zoomを利用したオンライン形式で開催した。Tokyo Fiscal Forumでは、アジア諸国の財政制度や財政の透明性改善等を支援するIMFの技術協力を土台としつつ、アジア各国のハイレベルな政策担当者の間で現状や課題を共有するとともに、アジア域外からの有識者とも意見交換できる場を設けることを目的として、2015年以降、アジアが向き合う重要課題についての議論を行うために、毎年、東京で集まる場を提供してきた。しかしながら、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受けて、第6回目となる今回のフォーラムでは、物理的に集まることを断念し、オンライン形式で開催することとした。フォーラムのテーマについては、COVID-19下で、アジア各国がどのように財政政策を行っていくか、とりわけ経済活動や医療提供体制を支えるための財政活動と、中長期的な財政リスクについてどのように考えるべきかを取り上げることとし、アジア各国の課題と取組事例を中心に議論が行われた。フォーラムは、例年、2日間にわたって行われるところ、オンラインでの開催で、時差も考慮し概ね3時間に短縮されたが、20か国からゲストやパネリストが参加し、在京大使館や国内の研究者等も含め、全体で130名超が参加した。本稿では、本フォーラムの模様をお届けする。(テーマと全体構成)COVID-19感染拡大により、各国の経済が大きな影響を受けている状況を踏まえ、本フォーラムでは、COVID-19パンデミック下におけるアジア各国の財政政策運営と財政リスクをテーマとして取り上げた。セッション1では、各国がとるべき財政政策について、感染の拡大防止から経済活動の本格的な再開に至るまでの段階に応じた財政政策の実施、経済回復に向けた財政支出と債務の持続可能性の適切なバランス等の観点から、各国の取組事例が紹介された。セッション2では、IMFより、財政リスクを把握し、その適切な管理を支援するためのツールキットの紹介が行われた後、フィリピン及びバングラデシュより、財政リスクに対応するための取組が共有された。また、今回のフォーラムの中で時間を別途設けた「刊行物紹介コーナー」では、IMFより、2020年10月に発行されたFiscal Monitorの第2章、インフラ投資に関するガバナンスについてのIMFの新たな出版物及びウェブサイトについて紹介された。また、ADBIより、気候変動リスクとソブリン債の関係に関する論文が紹介された。財務総合政策研究所 主任研究官曽我 奈津子財務総合政策研究所 研究員黒川 ひろ財務総合政策研究所 研究員笹間 美桜68 ファイナンス 2021 Feb.連載日本経済を 考える

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